【即興】ノリと勢いで書く短編集 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,943 hit

即興ななつめページ7

【環境音】時計の針が動く音、パソコンのモーターの音
【あったもの】パソコン、電話の子機

＊

よく言えば規則正しい、
悪く言えば単調で味気のない
チクタクという音が部屋に響いている。

確か数年前までは、
BGMとして使用していたポップスの音が加わっていたはずだが、
あまりの音質の悪さに辟易して今ではすっかり聞いていなかった。

PCの前に座り込みカタカタとキーをたたく。

起動した時には、キュルキュルと嫌な音を立てていたモーターも
今はときおりヴゥゥンと少し大きな唸り声を立てるだけだ。

「寿命が近づいてんのかな」

もしそうだとしたら、と彼女は考えた。

――――もしそうだとしたら、私はこれで二代目の相棒を喪うことになる……

『相棒』と言っても、所有権は彼女の母親にある。
ただ、使用している時間の長さが、
通学しているにもかかわらず、恐らく母親に匹敵するほどの長さであるというだけだ。

―――――……さっきの嫌な音、一応伝えておいた方がいいかな。

そう考え、子機を手に取った。

「…内線便利すぎてマジ最高かよ」←

リビングに置かれている筈の子機につなぎ、
耳にあててしばらく待った。

――――――プルルルルッ………プルルルルッ

電話の呼び出し音が、二重になって聞こえてくる。

一つは今自分が持っているものから。

もうひとつは、この室内から。