【即興】ノリと勢いで書く短編集

即興いつつめ ページ5

【環境音】家族の話し声
【あったもの】プリント類、お菓子

＊

今日はどうやら来客が多いらしかった。
祖母はお茶菓子に何を出せばいいのか、そればかり悩んでいる。

どこかのお土産に買ってきたお菓子を、４つに割って出そうなどという意見も出たが、
それが賢いとは到底思えなかったし、きっと冗談だろう。


私はいけにえにされかけたお菓子を視界の隅に入れ、すっと視線をそらした。


代わりに視界を支配したのは、どんよりとした灰色の空。
ついさっきまでは雨がしとしとと降り続いていたが、すっかり止んだようだ。

ごちゃごちゃした書類や封筒が散らばる上に重ねて、
新しく中学に入った弟や、新学期を迎えた妹がもらってきたプリントが机に置かれている。


そういえば、私も書類を書かないといけないんだっけ？


「だっる……」


ぼそっと呟き、机に伏せる。

書類がバサバサと落下し、母の怒鳴り声が聞こえた。


空はやはり暗く曇っている。



まるで、この机の上を憂えているような天気だった。

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