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「はぅっ!可愛い(*´д`*)・・・いやっ、涼子ちゃんの為ならなんてことな・・・・ ヴッ!!」
案の定涼子の可愛さにやられて真っ赤になった大ちゃんを羽交い締めにすると、憮然とする涼子に声を掛けた。
「あ、涼子。制服に焚き火の匂い付くから着替えてきな。後は俺らがやっとくから」
「はーい。・・・・・・チッ」
おい涼子!今絶対舌打ちしただろ。
ありがと。お願いね、と言いながらスタスタと着替えに戻る涼子を見送る。
知らない奴からの好意は嫌がる癖に、身近にいる奴は落とさなきゃ気が済まないのは本当にタチが悪いよな。
これ以上、可哀想な奴を増やさないでくれよ。
「あー・・・本当可愛いよな、涼子ちゃん」
大ちゃんは天を仰ぎながらしみじみと呟いた。
最近の大ちゃんはすっかり涼子に心を奪われちゃってる。
小さい頃から知ってたのに、気持ちに気付いたのは最近だなんて。大ちゃんらしいよな。
「新しい制服姿も堪んねぇな〜」
「ちょっと辞めて。親父臭いよ大ちゃん」
「だってさ。その上JKだよ?普通にヤバイよな〜!」
「・・・やらないよ絶対」
「分かってるよ!まあもう中島くんいるしね」
はぁ。と溜息をつきながら目の前の焚き火をつついて残りの紙を燃やしていく大ちゃん。
「涼子ちゃんからしたら、俺の気持ちもこの紙たちと同じ扱いなのかな・・・。
特に気にかけることもなく、その他大勢として淡々と燃やされてさ」
寂しげな大ちゃんの言葉に一瞬固まる。
なんだよ、やけに切ない事言うじゃんか。
「‥そんな事は、、、ないだろ多分」
大体、まだ涼子に告白してないじゃんと俺が言うと、大ちゃんは自嘲するような笑みを浮かべた。
「・・・・・この先も告白するつもりなんてないから、いいんだ。それよりさ‥。
これを書いた子は、どんな気持ちだったんだろな。
学校一可愛い子にノリで出すって奴も中には居るんだろうけどさ。
もしかしたら一世一代の勇気を出して書いてる子もいるかもしんないし。そう思うと切ないね」
大ちゃんの言葉は、目の前にある沢山の届かなかった想いをまるで成仏させていくかの様で。
パチパチ、と音を立てて燃えていく手紙達を俺たちはぼんやりと眺める。
実る事のない想いはやがて灰になった。
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作者名:AKA | 作成日時:2022年4月4日 8時