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「毎日どこから沸いてくるのってくらい、沢山出て来るからもう爆笑だよね」
無表情のままでそう言うヒカルちゃん。
発言と表情が全く合ってないのは相変わらずだ。
もう！2人とも他人事だと思って！！
「はぁ。2人だってモテるのにこういうのは無いんだよね。私って、そんなに軽くみられてるのかな･･･」
そう言ってしょんぼりする私に、音がなりそうなくらい首を振る裕翔くん。
「それは違うよ！絶対！･･･でも、涼ちゃんには俺がいるのを皆知らないのかなぁ。こうやって出来る限りは一緒に居るんだけどな。やっぱり校舎が違うと心配だよ」
はぁ、、と私の隣で似たように落ち込む裕翔くんにヒカルちゃんが少し表情を緩める。
「大丈夫だよ。私も一応気を付けて見てはいるから」
「あ、ありがとうー！ヒカルちゃん！！また今度、練習中の薮くんの写真送るからね」
「･･･！！ありがとう、中島くん」
突然出た薮くんの名前にポッと頬を染めるヒカルちゃん。
相変わらず可愛いな。
そう、ヒカルちゃんの彼氏は以前にも登場した
うちのパパとママにそっくりな顔を持つ薮宏太さん。
他人の空似どころか本人にしか見えないくらい似てるから、いつか3人を会わせてみたいんだけど時空歪むかな？
そしてこの薮さんは裕翔くんのバンド仲間でもあるんだよ。
本当世間って狭いよね。
そうこうしてるうちに駅に着いた。
ヒカルちゃんはこの春から実家を出て、高校の近くにBARを営んで一人暮らしをしてるお兄さんの所に身を寄せてるらしく、一緒に帰るのはいつもここまで。
「じゃあ、またね」
「またねー」「気を付けてね」
駅を出るヒカルちゃんを裕翔くんと二人で見送る。
私と裕翔くんはここから電車に乗って帰る。
降りる駅は裕翔くんの方が一駅先だけど、心配だからっていつも私の駅まで付き合ってくれるんだ。
本当優しいよね。
大好き。
チラ、と隣にいる裕翔くんを見上げる。
「ん？どうしたの？涼ちゃん」
「･･･」
手を繋ぎたいな、そう言えなくて思わず自分の手と宙ぶらりんになってる裕翔くんの手を見詰める。
「･･･あ、そか。」
そんな私を見て察してくれたのか、裕翔くんから手を絡めてきてくれた。
「行こ」
「うん♡」
ーーー
？？「クソっ･･･許せない！」
私達は完全に二人だけの世界に入ってしまっていて、
後ろから送られる不審な気配を含んだこの視線に
この時は気付く事が出来なかった。
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作者名：AKA | 作成日時：2022年4月4日 8時
