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「涼ちゃん。お待たせ」
「全然待ってないから」
そんな可愛くないことを言う私を、慧ちゃんは優しく受け止めてくれた。
「泣いてたの?涼ちゃん」
涙に気づいた慧ちゃんは私の顔を両手で挟んで撫でてから心配そうに眉を曇らせた。
「慧ちゃん…」
慧ちゃんの優しい目を見たら、涙が余計に出てくる。
「あーあ、せっかく頑張ったメイクが落ちかけてるよ?涼はメイクなんかしなくても可愛いけど…」
「だって裕翔くん、やっぱりお兄ちゃんに」
「そうだった!ナカジマをシメてこなきゃ!たかぎ!」
だから俺の名前はたかきだって、と、何回も擦られたようなネタをボヤきながら、後方でタバコふかしてた高木くんが慧ちゃんに呼ばれる。
「バット貸して」
「えー?また俺のバットでやるの?」
「友達のピンチなの、たかぎ!」
「本当名前直す気ないよね笑。そんな友達思いの優しい慧が大好きだけどさ…
俺一応元野球部、バットは野球以外に使っちゃダメだって…」
「いいから!今は貴方ヤンキーの設定でしょ?←
貸して」
完全に慧ちゃんの尻に敷かれた高木くんは、ビビりながら野球部の命、金属バットをおずおずと差し出す。
「血、付けないでよ〜慧ちゃん」
「ウチがそんなヘマすると思う?ありがとう。愛してるよた・か・き♡」
「可愛いんだからな〜もう」
高木くんは慧ちゃんのデレにあっさりと降参。結構見た目は怖いのに目尻を下げてニヤニヤしてる。イケメンが台無し。
でもうちの裕翔くんより崩れ具合がだいぶマシ。
いいな〜慧ちゃん愛されてて。でもそんな高木くんに愛されてる慧ちゃんは、彼氏の命みたいな青春の金属バットを私の為に血染めのバットに変えるんだ……ステキ。
やっぱり私って最強…?!ああ、つい思考が。
気付いたら慧ちゃんは既にうちの中へ。
私も慌てて追いかけようと走りかけたけど、後ろに居る高木くんに気付いてお礼する為に振り返った。
「高木くん、あ、ありがとう…」
あまり接したことのない高木くんには人見知りをしてしまう。
そんな私を安心させる為か、高木くんは絵に書いたようなイケメンスマイルで私に向かって親指を立てた。
「大丈夫、うちの慧ちゃんを信じてね☆」
くっ!やっぱり高木くんイケメン過ぎだわ…
慧ちゃんの彼氏だけどかっこいい……
ダメダメ、本気で乗り換えそうになった。
私の彼も最高にカッコイイけど、時々回線が切れてバグるのが玉に瑕。
あれさえなければ回線プレデターになれるのに。
…あれ、何の話だっけ?
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作者名:AKA | 作成日時:2021年11月21日 9時