地雷女子ymdちゃんと兄ヤンキーymdくん (ページ15)

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「なんか静かだけど、もう事件は終わったの？」

「ああ、事件といえば事件だけど。とりあえず終わったみたいだな」
俺はヤレヤレとため息をついた。

「なら良かった。ミタゾノさんビビらすなよ。慧ちゃんはもういないみたいだし」
ホッと胸をなで下ろしたソイツ。

「だから誰だよ慧ちゃんて」
気になる俺を相変わらず気にしないソイツ。
ちょっとは気にしてもろて。

「そう言えば俺のバット知らない？」

「バット？…ああ」
こいつのだったのか。俺は思い出して荒れ果てたリビングに戻り、伊野尾ちゃんが落とした金属バットをこいつに渡す。

「おーこれこれ。ありがとう！…。良かった〜血はついてない」
俺の彼女やっぱりサイコー！と素直に喜ぶこいつに不思議と好感を覚えてきた俺は、そういえば、と気になってたことを聞いてみた。

「なあ、お前名前なんての？」

「俺？俺は髙木。いいか、たかぎじゃなくてたかきだからな！よろしく！」

「そっか。たかきか。宜しくな」

「こちらこそ！なんかアンタ、俺の彼女の友達の女の子にソックリだね」

ああ、こいつはあの伊野尾ちゃんの彼氏か。理解した。伊野尾ちゃんが慧ちゃんね。

「ああ、よく言われる…それ妹なんだ、そのせいでさっきまで酷い目に…」
頭を抱える俺に、やっぱり大した興味も持たない様子の高木。

「そっか、それは大変だったね。何があったか知らないけど頑張って。お邪魔してごめんね！俺も帰るから！」
高木はとっても軽いタッチであっさりと俺の話を流し、一方的に別れを告げてきた。

マイペースな奴だな。何だこの野郎。
この話にマトモな奴はいないのか。

あ！そうだ、忘れないうちに。

「なあ！高木！どうでもいいけど、お前のバットの名前の刻印、たかちになってたぞ！ローマ字、間違ってんぞー」

俺はそう言ったけど、既に高木はバイクのエンジンをかけて去っていった後だった。

「あーあ間に合わなかったか。バカだけど、何となく良い奴そうだな」