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「…いらっしゃい」
今日も病んでるのか、こちらに目線も上げずに一言挨拶したらキッチンに走って行ってしまった。
でも今日は挨拶に出てきただけマシかも。病み期でも娘の為に頑張って出迎えてくれたんだねお母さん。←

「ごめんね。お母さん…照れ屋なの」

「いや、気にしないよ!照れ屋なお母さん可愛いね」
と、グラサンを慌てて外した裕翔くん。
優しい彼氏で良かった。あんな挙動不審なお母さん、普通もっとビックリしてもいいのに完璧彼氏中島はビクともせずにこやかに笑っている。

「お邪魔しまーす」
後続はいなかったので、ようやくお家に上がってもらう。
律儀に靴を揃える裕翔くん。逆になんでヤンキーやってるのか分からない真面目っぷり。

「どうぞ、散らかってるけど」
リビングのドアを開けながら私は大嘘をつく。この日の為にめちゃくちゃ掃除したし。なんならリビングの配置もパパや兄を使って変えてやったし。
裕翔くんに幻滅されたくなくて頑張って掃除した。リビングは完璧なはず。
自信を1ミリも見せずにシレッとリビングのドアを開けると。

「おっ涼子おかえり♡……こいつが例の彼氏?」
ソファに寝そべる兄涼介がこちらを見て(いや、私の後ろの中島ロックオン)ガン効かせてきた。
兄涼介は某有名キャラを思わせる金髪にポンパドール。顔は私のすっぴんに瓜二つのチビで色白美形だけど、喧嘩は最強のスーパーギャップ萌えの凄い兄。
いつもは夕方まで自室でゲームしてるか寝てるのになんで今日に限ってリビングにいるんだろう。
パパも呑気にダイニングチェアに座ってコーヒー飲みながらニヤニヤとこっち見ないで。
そんな暇あるなら着替えて来て。

「お兄ちゃん!なんでここにいるの?!
昨日あれだけ言ったじゃん!!」
ソファに寝たままの兄の胸ぐらを掴み、無理矢理立たせて詰め寄る。

「っ、何怒ってんだよ、涼〜。俺また地雷踏んだ??可愛い顔が台無しだよ?」

「なんの為に昨日死ぬ気で片付けたのかわかんないじゃん!ソファは寝るところじゃないの!嫌い!」

「ごめんて〜!涼の死ぬは冗談じゃ済まないからなあ」

「早くお部屋戻ってゲームでもしててよー!」

「わあ泣かないで涼…だって可愛い涼の彼氏だよ?どんな奴か見てみたくてさ」
てへっ☆と可愛く効果音が付きそうな笑顔でこちらを見る兄。クソっ!お兄は可愛いんだよ。これが天然の可愛さ…顔は私と全く同じだけど、兄は作らなくてもこういうアザトい仕草を天然でやってのけるからタチが悪い…

・→←side りょうこ



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作者名:AKA | 作成日時:2021年11月21日 9時

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