恋が溶けるその前に【今市隆二】

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彼を交えた授業は今日で2回目。



隣で勉強する私を他所にイマイチリュウジは全く集中する様子もなく。






喋らないだけありがたいけど、それでもなんだかいい気分じゃない。




ノートの端っこにヘタックソな絵を描いたり、机の下で携帯を弄ったり。



1番後ろの席だから見え辛いのは確かだけど、やっぱりいい気分じゃない。









3時間目の英語の授業は英単語の小テストがある。



私は勉強したから大丈夫。



だけど彼はー…。




少しだけ気になって採点後覗いてみると、





まさかの満点だった。






文句のつけどころがない解答。





嘘でしょ？


さっきの数学は誰でも理解できるような問題で躓いていたのに？





"なめてる"の意味も知らないくせに？







彼は何故か英語が出来る。


いや、でもやっぱり実は小テスト勉強、してたのかもしれない。


そう思ったけどそのあとの演習もスラスラと解いて全部満点でまるで英語が出来るなんて当たり前みたいで。





1時間目の世界史と2時間目の数学とのギャップが凄すぎて付いていけない……。






そしてもうひとつ分かったこと。



彼の名前は『今市隆二』と書く。



そして結構字が綺麗。



本当に不思議な人ーーー。





今市、ってやっぱり珍しい苗字だな〜と彼の解答を見てずっと思っていた。



今まで生きてきた中で会ったことも聞いたこともない。






「 今市… 」




気付けばそう呟いていて、今市隆二がこっちをビックリした顔で見たとき、しまったと後悔した。





「 何？やっと俺と喋ってくれる気になった？ 」




「 んなわけないでしょ 」



それにやっとって言ったってまだ会って2日。



心の整理は到底できない。





それでもどうしても気になってしまった。



嫌だ、聞きたくない。


彼に興味を持ったと思われたくない。


言葉を交わすことさえも避けているのに。




それでもどうしても知りたくなってしまった。








「 あの、さ 」




あぁ、話しかけてしまった。


でも今なら取り消せるかも。



でも今市が笑顔でこっちを見るから言わなきゃいけないような気がした。






私は今市の笑顔に弱い。







「 英語だけ、なんでそんなに出来るの？ 」






勇気を振り絞って聞いたのに、






「 ん〜、なんでだろうね 」





今市隆二は私に何も教えてくれない。



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