six:悲鳴 ページ7
線路上
19:34
「そういえばそれって竹刀？」
「そうそう。剣道部なんだ」
「マジ！？武道かっけーよな。すげー…おれなんか水泳だし」
「水泳でも凄いと思うけど…私泳ぐの下手だから」
なんて雑談をしながら先頭車両へと向かう。私たちがいた車両は前から3番目だから少し歩けば着くはずだ。
「あ、見えてきたっぽい？あれだろ？1両目」
「うん。早く行こう」
1両目に到着した瞬間、電車のライトが消えた。
「！？ もうマジでなんだ！？」
「わかんな…」
「キャアァァァァァ！！！」
「やめろおおお！！」
「ばっばけも…いやああ！！」
「分からない」と言おうとした瞬間に悲鳴が轟いた。悲鳴が聞こえたかと思うと人が外に出て私たちのほうに走ってくる。
「うお！？な、なんだ！？」
「すっすみません！何があったんですか！！」
大声で叫ぶと1人だけサラリーマンらしき人物が立ち止まって私達の方を見ると早口でこう言った。
「き、君達も早く逃げろ！！この先には行くな！！化け物が…！！」
「え！？ちょ…」
そのまま男の人は全力で走っていってしまった。
「ば、化け物ってなんだ？ Aさん、あの人が言った通り戻ろう！なんかやべぇ気がする！！」
「う、うん。戻………
あ、功士郎くん、な、なにあれ」
「え？＿＿＿＿っあ、あれ…」
Aが震える指で指した方に功士郎は目を向ける。そこには血だらけの人が立っていた。
「な、なあアンタ凄い傷だぞ…！？大丈夫か！？すぐ救急車……」
功士郎が近付こうとしたのをAが腕をグイ、と引っ張って止めた。功士郎は不思議そうにAを見る。
「功士郎くん！！駄目！！行こう！！あれっ、あれ…ゾン…」
また言いかけた時、その”血まみれの人”はドロドロになった顔でこちらを見て、人間とは思えない低い声でこう言ってきた。
『オア………ニク………ク…ワセ……ロオオオオオオオオオオ』
迫ってきた”血まみれの人”に顔をしかめながら、私達は振り返り走り出した。
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作者名：はるこてつ(べーきち) x他1人 | 作成日時：2013年9月29日 20時
