第70話 男として ページ28
カクは私を真剣に見つめ言った。
｢わしも、あいつらと同じ男じゃ。今までお前を傷つけたくない一心で我慢しとったがもう限界でのう…。誰かに傷つけられるくらいなら、わしが…。｣
カクは悲しい顔をした。
カクの悲しい顔を見たくない私は、カクの頬に手を伸ばす。
『…悲しい顔しないでよ、カク。』
｢…。｣
カクは私の手に自身の手を重ねた。
｢…これだけ言っても伝わってないようじゃ…仕方ないのう？｣
カクは重ねていた手を取り、そのまま床に押し付けた。
カクの顔が近づき、気づいた時にはカクと私の唇が重なっていた。
何が起こったのかわからない私は呆然と固まってしまっていた。
｢…はは…。｣
顔が離れたと思えば、私の驚いた顔をみてカクは笑った。
｢少しはわしを男として見てもらおうかの。｣
その瞬間顔から火がでそうなくらい恥ずかしさが込み上げてきた。
『…だからって！い、今のは！』
｢…なんじゃ、初めてでもあるまいし………ん？｣
『……。』
私はカクの言葉に反論できなかった。なぜなら本当に初めてだったから…。
｢…はっはっは！そうか！初めてか！｣
『…っ！笑わないでよ！』
さっきまで真剣な表情で私を見下ろしていたカクは、驚いた様子で起き上がり、笑っていた。
｢わしゃあ、てっきりルッチかアイスバーグに…。｣
『！？そんなわけないでしょう！』
私も体を起こし、カクに言う。
｢…誰だってそう思うわい。｣
カクはそうかそうかと頷き、嬉しそうにまた笑った。
ーーやっぱりカクは笑っていた方がいいな。
私はブルーノさんのように、カクの頭をポンポンと撫でた。
カクは笑っていたが、ムスッとした顔になって、
｢…まだ分かってないようじゃな？｣
そう言って私の腕を掴み、ぐいっと引っ張る。
『…！？ち、ちがう！わかったから！もう…。』
私はカクから目を逸らす。
カクはそんな私の顔を見て、はぁとため息をこぼした。
｢…いいか。男なんてこんなもんじゃ。警戒を怠るとお前が痛い目を見るぞ。｣
『…うん。わかった、ありがとう。』
私がそう言うと、カクは何故かさっきよりも大きなため息をこぼした。
｢…ありがとうはないじゃろ…。｣
『？』
カクは何か言ったがよく聞き取れなかった。
カクは立ち上がると、
｢…悪かった…。おやすみ。｣
そう言って部屋から出ていった。
私はそんなカクに手を振り、先程のことを思い出すと、また顔が熱くなるのだった。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
