第65話 引き出された能力 ページ23
『…すみません。分からないんです。自分でも…自分が何をしたのか、分からないんです…。』
私が後ずさると背中に壁が当たった。
｢…分からないなら調べるまでだ。｣
『っ…！』
そう言ったルッチは私をひょいと肩に担ぎ、ある部屋に入る。
昨日、私がここにルッチを運んだ。
ーー…寝室。
ルッチは私をベッドに放るとその上に跨る。
『…！？』
｢…そうだな……。昨日男二人に何をされた？その時どんな気持ちだったんだ。｣
ルッチに聞かれその時の記憶が蘇る。
ーーー
離して！だとよ。
逃がすなよ、上物だ。
泣いてるぜ。
泣いてるところもそそるなぁ！
あの時のことがフラッシュバックして私は震える。目の前のルッチとあの時の男が重なった。
『…っ…嫌だ…！』
ーードクンッ
｢…っ…。｣
ルッチの顔が少し歪んだ。
しかしルッチは続ける。
｢…。どうなんだ。｣
ルッチは私の様子を伺いながら服に手をかける。
『！…うぁ…。やめて、ください…。』
ーー…ドクンッ…ドクンッ…
怖くて涙が出てきた。
｢…っ！……嫌だったらもっと抵抗しろ。もっと憎め。もっと…。｣
ルッチは私の言葉を聞き入れる様子はない。ルッチの目が細くなるのが分かるが、瞳はギラギラと光っていた。
ルッチの顔が近づき、私の首を噛み付くように舐めた時だった。私は心臓がバクバクと暴れ、身体が熱くなるのを感じる。
『！っ…。うぅ…。ルッチ…さん…。』
ーードクンッ…ドクンッ…
ドクン！！
ずっと鳴っていた心臓がより一層大きく鳴った時、
｢…はっ…！いいぞ…。｣
ルッチはそう言い、脱力して私の上に覆いかぶさった。
｢…！？ルッチ…さん？？｣
名前を呼ぶが返事がない。
眠れないと目にくまを作っていた彼が、こんな状況で規則的な寝息を立てていた。
私は初めて自分の能力が発動したのを感じた。
ルッチは私の能力を無理やり引き出したのだ。
未だに鳴り止まない心臓を抑えながら、覆い被さるルッチをのけてベッドから降り、
動かしても起きる様子がないルッチに布団をかける。
ーー寝ていれば可愛いのに…。
起きている時眉間にシワのよった彼は、よく見ると整った顔立ちをしている。
『…おやすみなさい。』
私は乱れた服を直しながらルッチの部屋を出た。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
