第84話 嘘じゃない ページ42
『…ぅ…っ…。』
ルッチは胸ぐらを掴んだまま、未だに私の口を塞いでいる。
私は限界で息をしようと口を開く。その瞬間待ってましたというように、ルッチの舌が入り込んできた。
『！！っぅ…んんっ！』
｢っ！！｣
私は驚いて反射で口を閉じようとする。その時ルッチの舌をかんでしまったようだ。
｢…悪い。｣
ルッチはやっと唇を離し、自身の唇をぺろっと舐める。ちらっと見えた舌から血が滲んでいた。
焦った私は謝罪のつもりで頭を下げた。
ーー謝られた…私が悪いのに…ん？私悪くないか。
色気もくそもないが、そんなことを考えていた私に彼が言う。
｢……俺はあの時、お前が死んだとおもった。気づいたら人獣になって海に突っ込んでいた。能力者の俺が…だ。ありえん。｣
ありえん。そう言われても困るのだが。きっと私の顔は困惑していたのだろう。
彼はまた笑う。
｢…怖くない、か…。嘘でもいい。お前に疎まれるのは、少し…くる。｣
『…！』
そう言ってまたルッチが唇を這わせた。
今度は這わせるだけのキスだったが、唇を噛まれたり、舐められたりで私の脳内はパンク寸前だった。
ーー嘘じゃないよ。
そう言いたくても声が出なかった。
私が夢に見たと聞いたルッチは、それほどに自分に脅えていたと捉えたのかもしれない。
ーー違うよ。夢に出て怖かったのは、あの大きな波…ルッチは違うよ。
伝えたくても伝えられない悔しさから涙が出てきた。
ルッチは私の涙を見るとハッとして、唇を離した。
｢…これでは本当に嫌われるな。｣
そう言ってベッドから下りる。
ーー違う…。
嫌ってないのに、否定できない。私は一生懸命首を振った。ルッチに伝わっただろうか。
彼は私の涙を指で拭った。
そのルッチの優しさが、さらに私の涙を流させていることを彼は知らない。
｢…ごめんなさいね、お邪魔だっだかしら。｣
｢…。｣
『！…ぐすっ…ぅ…。』
ベットで真っ赤な顔をした私が号泣、それを慰めるルッチ。
こんな2人を見てカリファさんは何を思っただろう。
カリファさんはルッチを掴み、部屋から追い出すと、私に駆け寄る。
｢…何があったの！？大丈夫？？｣
私の濡れた顔をハンカチで拭いながら話しかけるカリファさん。私はただ泣くばかりで説明なんてできるわけなかった。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
