46話 ページ47
君のことを考えながら歩く並木道。
そよ風が吹くと、
あの日のことを思い出す。
・
・
・
“世間知らずのお嬢さん”
3年前までの私の世界は
驚くほど狭かった。
「A様、朝食の準備が出来ております」
『…ありがとう』
“桜木A”
本名は
“榎本A”
榎本財閥の一人娘。
っていう堅苦しい肩書きが
好きじゃなかった。
今も、ずっと。
毎日毎日、決して変わることの無い日常。
変わることを拒んでいるかのように。
変わることの無い景色を見て、
変わることの無い道を歩いていた。
そんなある日、
「A様、ご主人様がお呼びです」
『分かった』
執事もメイドも
顔と名前が一致しない。
覚える必要もないと思っていた。
・
『なんでしょう？』
父「A、この家を出なさい。」
突然の宣告に何も言えない私。
一人で生きていく術なんて
到底持ち合わせていなかった。
ただただ固まるだけの私に、
父は続けてこう言った。
父「はっはっは(笑)
そんなに心配しなくても大丈夫だ。
Aには一度世間を知ってもらいたいと思ってな。
期限を決めてあるんだ。」
『期限？』
父「そう、2年。
2年間だけ、この家を出て、一人で暮らしてみなさい。
世界は広いんだ。
友達と遊んだり、恋をしたり、
好きなように生きて
自分という人間を知るんだ。」
その時はただ、父の言葉が重くて
不安でしかなかった。
父「ただし。
どんなに楽しくても
どんなに素敵な人が出来たとしても
2年が終われば必ずこの家に戻らなくてはならない。」
『恋人ができたとしたら？
その人はどうするの？』
父「置いて来なさい。」
じゃあ恋なんてしないで
ただ2年が過ぎるのを待てばいいと
この時はそう思っていた。
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ちー(プロフ) - 夢中になり朝からずっと読んでました^_^このお話大好きです！続き楽しみにしてます☆ (2019年1月22日 7時) (
レス) id: 487e8622a6 (このIDを非表示/違反報告)
Natsumi(プロフ) - はじめまして！小説読みました！星も押しました！面白くてめちゃくちゃ好きです！早く続きが読みたいです！更新頑張ってください！応援してます！！ (2019年1月14日 0時) (レス) id: 74cfa4bee8 (このIDを非表示/違反報告)
あぽん(プロフ) - えりさん» ありがとうございます！がんばります (2018年12月20日 21時) (レス) id: 2ff8adf61b (このIDを非表示/違反報告)
えり - あー早く続きがみたいです (2018年12月19日 1時) (レス) id: 45f78a918e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あぽん | 作成日時：2018年11月11日 22時
