完璧が邪魔をする【赤葦京治】 (ページ31)

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大切な少女.28 ページ31

木兎side

「赤葦さんはとてもいい人ですね。」

赤葦にまたなと告げてしばらく、オレンジ色の道をスキップしていたAは不意に呟いた。

人と打ち解けることが苦手になったAにしては珍しい、思わず頭を撫でた。

「だろー、赤葦はすげーいいやつなんだよ！教えてくれることは的確だし、何より意味がない嘘は吐かないし。」

それを聞くと、ニシッと無邪気に笑った。嬉しくなってつられて笑う。

Aと一緒に笑ったのは、いつが最後だった？
そんな疑問すら打ち消すように笑った。

「……ありがとう、光太郎。」

「どーした、急に？」

愉快そうに目を細めるクセ。
いつだって、大切な物・好きなものを見る時のクセ。

今までずっと向けられてきたその目の意味は、『大切な唯一の幼馴染み』。

俺がそれ以上になる可能性は、今はほぼゼロで、中学の時は一番で。

それがたまらなく悔しい。でも、その先にあるAの幸せを望んだりもする。

「今、どうしても言いたくなって。」

ああ、そう言えば思い出した。

俺に対して敬語が抜ける時、Aに好きな人ができたときだ。