星8つ ページ8
男の子は鬼に関することを教えてくれた。
一つ、鬼は山の中の神社に出ること。
一つ、夕方に山に居ると鴉が六つ鳴くと同時に神社の前に集められてしまうこと。
一つ、帰るためには隠れんぼで朝まで見つからないようにすること。
一つ、もし見つかったら鬼に触れられないように逃げること。
「僕が知っているのはこれだけ。お姉さんたち、お願いだから帰ってきてね。」
「うん、わかった。教えてくれてありがとう。」
___カアァァ!!
言い終わるのが早いか、鴉が一声鳴いた。夕日はもう傾いてしまっていて、隠れんぼの開始時間が迫っている。
___カアァァ!!
二つ目、私たちは全速力で走り出す。
___カアァァ!!
三つ目、村にしては多い家の屋根の上に飛び乗る。
___カアァァ!!
四つ目、屋根の上を全速力で走る。
___カアァァ!!
五つ目、家が途切れたから畦道を走る。山まであと少し。
___カアァァ!!
六つ目、足が山の中に踏み込む。視界がぐにゃりと歪んで、地面が近づいた。
目を開けると、古びた神社の鳥居の前にいた。苔がびっしり生えていて、手入れがされてない。
鳥居の向こう側に歩くと、ぽっと提灯に明かりが灯る。ぼんやりと道が照らされて、それに沿って歩く。
「わぁ!!今日は二人も遊んでくれるんだね!!嬉しい!!」
幼い少女の声。その声を聞いて、体中から汗が吹き出る。
懐かしい、ありえない、嬉しい、本物じゃない。色んな感情が心の中で渦をまく。
おかしい、だってあの子は
「……!……ッ、A!」
時透さんの言葉で我に返る。彼は違う道にいた。
「鬼の姿、どう見えてる?」
一瞬、何て言えばいいのか分からなくなる。言ったらいけない、そんな気がする。
「私の、大切な人に見えます。」
「……たぶん、血気術でそれぞれに違う姿にしてる。気を抜かないで。」
「コソコソしたらダメ!うーん、何して遊ぼう。隠れんぼは飽きちゃったしな〜。」
大袈裟な鬼の挙動。
言っていることからして、隠れんぼをしない可能性がでてきた。
「そうだ!二人とも鬼狩りなんだから、どっちが私の頸を斬れるかっていうのはどう?」
「もう、始めていいよね。」
言うが早いか、彼はあっという間に距離を詰めて頸を狙った。
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時