星40個 ページ40
時透視点
狭い病室で、Aはたくさんの管で繋がれていた。それはまるで彼女を現世に繋ぎ止めているようで、最悪の場合を考えて顔から血の気が引いた。
Aが任務で重症を負って三日目。
任務のときを除いた残りの時間の半分以上を蝶屋敷で過ごしていた。
「Aさんの昏睡の原因はおそらく毒です。かなり強力なもので、あと少し発見が遅かったら……」
胡蝶さんが教えてくれたことが頭をよぎる。
いつ目覚めるのかは教えてくれなかった。つまりはそういうことなんだろう。
祈るようにして組んだ手に力が入った。
神様がいるとは思えない。でも、今だけはそんなものにすら縋りたかった。
Aが死んでしまうかもしれないと思うだけで、心臓が張り裂けてしまいそうなほど痛む。
神様どうか、Aを生かしてください。僕の大切な人なんです。
伝えられていないことばかりだから、ちゃんと目を見て伝えたいんです。
それから数日、任務と柱の仕事をしながら空いた時間は見舞いに行く生活を続けていた。
「そんな生活を続けていたら、彼女が目覚めるより前に時透さんが倒れてしまいますよ」
胡蝶さん以外にもよく言われるようになった言葉。きっと心配してくれてるから言ってくれてるんだろう。
嬉しかったけど、それ以上にまた大切な人を失ってしまうかもしれない恐怖の方が大きかった。
さらに数日経つと、青白かったAの顔にだんだんと血の気が戻ってきた。
少しづつだけど包帯もとれてきて、目を覚ますのは時間の問題だと言っていた。
良かったと、心底思う。
心臓の辺りでずっと溜まっていた不安が、すっと安堵に変わったのを感じた。
と同時に、視界がぐにゃりと歪む。
そういえば、しばらくまとまった時間寝ていない。
重すぎるまぶたに、力が入らない体。
まずいと思う前に、意識を手放していた。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時