タルトレット【宮侑】 (ページ31)

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タルト.31 ページ31

「あのクソ！！」

「……、今日はいつになく荒れてるね。何かあった？」

角名は含み笑いをしながら、カメラを俺に向けた。コイツ、ただ面白いがっとるだけやん。

「あの佐伯がAにいらんこと吹き込んだんや！！」

「わ～、面白～い。」

「ツム、後で覚えとけよ。
アイツのせいで、昨日今日とメールの返信が無いんよ。」

朝の寒さに体が震える。もしかしたら寒さのせいやないのかもしれんけど、考えたら負けな気がした。

「ちなみに、メールの内容は？」

「コレや。」

携帯のロックを解除して昨日送ったメールを表示する。
それを見て角名とサムはブッと噴き出した。

「お前バカじゃねーの！？そりゃ、『お前のこと好きや無いからな。』とか何十件も送られてきたら、返信困るだろ！」

「私、宮治。今まで生きてきた中でコイツよりバカは見たことありません！」

「ほら、治も壊れるレベルだよ！」

そこまで言うと二人はバカみたいに笑い出した。
今、銀島が居なくてよかった。心を抉られる励まし方されとったかもしれん。

「あ、返信二個来とった。」

よく見たら、彼女の名前が二個続けて来とる。先に来とった方を開く。
『侑くんのダミーか何かですか？』

Aなりに困惑した結果の返信なんやろう。いつもより少し短い上、スタンプが押されてなかった。

もう一個も開く。
『おやすみ。』

前のメールから一時間くらい後に来たやつ。たしか、このくらいの時間に『おやすみ、また明日な。』って送った気がする。

への字になっとった口がだらしなく緩む。ついでと言わんばかりに、表情も緩む。

「今日の俺は絶好調や！！」

「なら、さっさと来い。練習始めるで。」

ドアの隙間から目を覗かせて、北さんは話した。
この人はこれを本気でやっとんのか、悪ふざけでやっとんのか、イマイチ理解しきらん。

「はい！」と威勢よく返事して、俺は部室を後にした。