タルトレット.23 ページ23
次の日の朝、目当ての人が来る時間帯に学校へ来た。
目当ては生徒会メンバー。できるならば、会長と副会長を引き当てたい。
もし大事になった場合、生徒会の発言力のある人物か味方にいた方が都合が良い。
下駄箱の扉を開けて、バサバサと音をたてて落ちる紙に小さく悲鳴を混ぜる。
パタパタという靴音と共に彼らは現れた。
「どうした、大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。」
怯えた演技もして、彼らの注意をより多く注がせる。
「ねえ、これ見てよ。」
次々と示される紙キレには、『ガリベン』だの、『カンニング野郎』だの、あげくの果てには『日本三大悪女(笑)』だの書かれていた。
正直、他の悪女二人がとても気になる。
それを見た会長と副会長は真面目な表情になって、私を見据えた。
「これは、いつから起きた?」
「昨日からだと思います。」
会長からの質問に簡単に答える。後ろでは、副会長が散らばった紙キレを片付けていた。
「犯人の心当たりは無いよね?」
「犯人どころか、何故こんなことの標的にされたかもわかりません。」
これはどうやら効いたらしい。前髪の奥の瞳孔が開いたように感じられた。
もう一息いくべきだろう。
「あの、お願いですから大事にはしないでください。もしかしたら、その人の気の迷いってこともあるかもしれませんから。」
「……、わかった。出来るだけ事は荒らげないようにしよう。でも、何かあったらすぐ言いに来てくれ。」
苦虫を噛み潰したような顔。
おそらく、彼らからの印象は悪くは無い。何かあったときには擁護してくれるだろう。
後ろ姿を見送りながら、ゆっくりと口角を上げる。
あとは、犯人探しだけだ。
筆跡は全ての文字の特徴がかなり分かりやすかったから、目星は絞られている。
さて、どうやって炙りだそう。
「お前、顔怖いで。」
頭上から降ってきた声に顔を上げる。
そこには少しだけ汗ばんだ侑くんが立っていた。
「あれ、朝練はもう終わったの?」
「今日のメニュー、ロードワーク10周で、終わった人から着替えろって言われててん。」
気づいていなかっただけで、バレー部がゾロゾロと昇降口に来ていた。
彼の話は本当らしい。てっきりまた体調不良で帰されたのかと。
「にしても、Aがこの時間に来とるなんて珍しいな。」
「まぁ、予防線を作っておくのも必要かなって思ってね。」
頭にハテナを浮かべる彼を置いて、教室へ向かう。
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ぬーすけ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新順で巡ってたら、惹かれる作品に出会いました。宮くんが可愛いです。更新大変だとは思いますが頑張ってください(*^^*) (2019年1月27日 1時) (レス) id: af92ea114b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2018年12月24日 14時