タルトレット.22 ページ22
教室に入った途端、私に向けられた軽蔑の目。
それを一身に背負って、特に気にしてもいないような振るまいで着席する。
誰にも話しかけられないよう、耳にイヤホンをはめた。
さて、いったいどんな噂で私のイメージは落とされた。
ここまで嫌われるなんてよっぽど悪どい噂か、影響力のある人物が発信したのだろう。
流された噂はバレー部の友達関係か、私のテスト結果に関しての『カンニング』など、バカらしい予想のどちらか。
一挙一動が命取りになるかもしれない、異常な空間。
違いに敏感な子供だけの場所だから起こる現象。
少しだけ誰かわからない主犯を愉快に思い、一番つまらない問題集を開いた。
「なぁ、A。」
昼休み、無理矢理連れてこられた空き教室に彼らバレー部は居た。
全員の視線が集まっているのが、皮膚を通して伝わってくる。
「お前自分の目のこと、誰かに言ったか?」
「十年来の付き合いの友達とここに居る四人は知ってるけど、全員秘密は守る主義だよ。」
確かに言葉を紡ぐと、みんなしかめっ面で黙り込む。
イマイチ状況が読み込めない。
「水を差すようで悪いんだけど、みんな何について話してるの?」
「お前の左目の噂が流れたんや。そして、それを利用して俺らのこと手玉にとってるっていう一級品の尾ヒレまで付けられとる。」
銀島くんが、慎重に言葉を選んでいた。たぶん、一番大切なところを伏せてある。
「それで、俺らは被害者。Aは悪女って女子の大半が決めて潰しにかかってる。」
「それで、あの視線か。もっと苛烈な嫌がらせがあると、証拠揃えて訴えられるんだけどね。」
例えば、持ち物へのイタズラ書きとか、過激だったら集団リンチとかかな。
「お前、心臓合金で作っとらんよな?」
「合金で作ってないよ。ただ、ネチネチした女子のやり方が気にくわない。どうせなら、もっと直接的にやるべきだよ。」
ポカンとした顔がこっちを向く。
一秒、たった一秒だけ静かになって誰からかわからないけど笑い出した。
「Aがそういうヤツなん忘れとったわ。」
笑い声の隙間で聞こえてくる声。
そういうヤツって、どういうヤツだよ。
途端、鳴り出す腹の虫。
また笑っえてきて弁当を取り出して、いつものように食べた。
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ぬーすけ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新順で巡ってたら、惹かれる作品に出会いました。宮くんが可愛いです。更新大変だとは思いますが頑張ってください(*^^*) (2019年1月27日 1時) (レス) id: af92ea114b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2018年12月24日 14時