死にたがりの僕等《太宰治》

9話 ページ10

初めて服を買ってもらった。




お花が付いている。




かわいい。




太「ふふっ、気に入ったかい？」




「はい。




こんなふうに服を選んで買ってもらったのは初めてで。





嬉しい……」





なんだろう。





この気持ち。






なんか。あったかい。









少し歩く。





太「あっ、ちょっとまっててくれるかい」




「？、はい」




そういうと太宰さんはニコッと笑って走って行ってしまった。





ベンチに座る。




風が気持ちい。





太「はい」




「？」





これは…確か前本で見た……





「クレープ？」




太「そう！クレープ。食べるのは初めてかい？」






コクリと頷く





いちごが入っていて美味しい。




もぐもぐ。




太「Aちゃんは美味しそうに食べるね」





「太宰さんは食べないんですか？」




太「あ、いいんだよ、私は」




なんかちょっとモヤモヤする。




「はい」





太「ん？」




「食べてください。」




太「え？いいのかい？」




「半分こ………」





ありがとうといって太宰さんは差し出したクレープを食べる。






夕暮れ時で、太宰さんの顔は少し夕日で赤く見えた。

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