検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:709 hit

第五話 ページ6

「ちょっとここ、埃っぽいですね。」
話しているうちに少し親しくなり、お互いの年齢や体質、趣味などを知った。
Aは22歳で人より埃やハウスダストに弱いが、色彩感覚が優れている故に絵を描くのが好き。
葉山は25歳で中度の金属アレルギーだが、危機回避能力だけはあるらしいので、人生の修羅場はいつも人から聞くらしい。
「そうだね。ちょっと外に出ようか。」
Aが年下と知ったこともあり、タメ口で話すようになった。

玄関口に戻り、ドアノブをひねるが_____



ドアが、開かない。



ガチャリと音はするのに、いくら押しても、いくら引いてもドアは動かない。
「おい、嘘だろ…。こんなゲームみたいな展開あってたまるか…!」
何度か蹴ったり突進したりしてみるがドアは開かない。
他に出る場所はないか館中を回る。しかしそれ以前に、鍵のかかったドアがやたらと多いのだ。
見つかった窓はすべて錆びついて開かないし、ガラスも異様に硬い。
「私達、ここから出られずに死んでしまうんですかね…?」



長い沈黙の末、葉山は鮮やかな赤いリボンの髪飾りを差し出した。
絵本のヒロインが作中でつけていたものと似ている。
「絶対に、ここから出よう。これ、君にあげるね。もし不安になったときは、この髪飾りを外して思い出して。」
その髪飾りの鮮やかさは、不安を押しのけるようだった。
「……はい。絶対絶対、出ましょう!」
丁寧に髪につけると、太陽のような笑顔で彼女は笑った。
その時彼は、ほんの少しの焦燥を覚えた。

第六話→←第四話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:アクセサリー , 毒りんごパイ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

YUKARI♪ - 毒りんごパイさん» それは良かったです! (2019年11月27日 22時) (レス) id: 8e0566877e (このIDを非表示/違反報告)
毒りんごパイ(プロフ) - ありがとうございます…(T_T)更新するモチベーションが無くなっていたのですが、気力が湧いてきました! (2019年11月24日 20時) (レス) id: 402e3fe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - イベントのYUKARI♪です!読みましたがとても面白かったです!評価させて頂きました! (2019年11月22日 15時) (レス) id: 8da6d1b6ea (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:毒りんごパイ | 作成日時:2019年11月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。