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一難去ってまた一難 ページ11

オレはAと少し距離をあけてどかっとベンチに座る。

「…もっと頼ればいいんじゃナァイ??」

「い、いえ…今日会ったばかりの荒北さんに迷惑かかるので…」

「ハァ??オレがなんのためにおまえを送ってると思ってんだ。意味ねぇじゃねーか」

おまえになんかあったら、福チャンと新開に何言われっかわかんねぇヨ。
何より、オレがすっげぇ胸糞悪ィ。

「あの、…荒北さん、あっありがとうございました」

Aは少しオレに身体を向けてお辞儀をしてきた。

「っせ。礼とかいらねっつの」

オレは自分用に買ったベプシ缶を開けて口をつけた。

「…次の電車に乗れっか??」

「は……はい」

まだこいつは怯えている。
さっきの今、再び電車に乗ろうとしてるんだから仕方ねぇけど。
だからといって、ずっとここにいるわけにはいかねぇんだ。
オレは立ち上がってAに手を伸ばす。
すると彼女はオレの手を見て、ぎゅっと目を瞑った。

「なんかあったらちゃんと言えヨ、バァカチャン」

オレは伸ばした手でAの頭を掻き混ぜた。


そして数分後にきた電車に再び乗った。
帰宅ラッシュに直面していて、さっきよりも人が多かった。

「チッ、うぜェ」

人の多い中、オレはAの後ろにまわった。
さっきみたいな変わった様子はない。

あと数駅で横浜に着く。
やっと帰れそうだ。
少し気を抜いたとき、電車のブレーキの音と共に、大きく電車が揺れた。

「きゃあっ」

同じように悲鳴のような声を上げたり、ザワザワ騒がしくなる車内で、オレは1人の声だけを拾っていた。

「…ッ!!」

それと同時にオレの胸元にくる衝撃。
前にいたAが後ろのオレに倒れ込んできた。
咄嗟に腕をまわして支えてやろうとしたが、ブレーキをかけて車両が止まった反動で今度は前に倒れそうになる。

「わわっ」

Aが思いっきり前につんのめっていくのを、オレは今度こそ腕をまわして止めた。

「あ…すみませ…」

Aが顔を上げると、その顔がみるみる青ざめていく。

「わっ、あの、すみません、すみません。荒北さんの手を煩わせるつもりはっ」

オレから素早く離れ、Aはとにかくペコペコ頭をさげてオレに謝ってくる。
その態度が気に入らねぇ。
が、ここでオレが怒鳴ったらまたビビらせた挙句に謝られるだけだと思ったので耐える。

タイミング→←救世主は荒北靖友



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設定タグ:弱虫ペダル , 荒北靖友 , 洋南大学   
作品ジャンル:恋愛
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桜音姫(プロフ) - 完結になってますけど、BADENDってことですか? (2018年9月14日 18時) (レス) id: 1b05663279 (このIDを非表示/違反報告)
poipoiaya(プロフ) - ひかるさん» いつも読んでいただきありがとうございます!!今回も楽しめるように精一杯頑張ります(^-^)よければ最後までよろしくお願いします!! (2017年11月22日 17時) (レス) id: 48d81e0108 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - こんばんは^^更新お疲れ様です^^今回も楽しく読まさせて頂いています♪今後の展開楽しみです^^無理せずに更新頑張って下さい♪ (2017年11月22日 0時) (レス) id: 3d465a31eb (このIDを非表示/違反報告)
poipoiaya(プロフ) - わかばさん» コメントありがとうございます!!拙い文章を読んで頂いて嬉しいです!!励みになります♪これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします(^O^) (2017年11月4日 14時) (レス) id: 48d81e0108 (このIDを非表示/違反報告)
わかば(プロフ) - 2話しか読んでませんがとてもドキドキしました。今後の更新楽しみにしております! (2017年11月3日 22時) (レス) id: e0dcf6ed7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唖耶 | 作成日時:2017年11月3日 19時

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