愛は絆よりも奇なり

絆 ―17― 荒北side ページ18

こいつといると、いつも言い合いになっちまう。
オレが女扱いすることが気に食わないらしい。
だが女は女だ。
それは天地がひっくり返っても変わんねぇじゃねぇか。

冗談半分…いや、見たいわけじゃないので、明らかに冗談で服を脱げと言ってみる。
そんな度胸もないくせに、女扱いすんな、なんて甘いこと言ってんじゃねェ。

と思ったのに油断した。
Aはジャージに手をかけていたのだ。

「バッ!!」

オレが止めようとしたのも間に合わず、Aはその勢いのままジャージを引っ張り抜いた。
そのジャージがパサリと地に落ちる。

その下はキャミソールで、下着じゃなくてよかったと思ったが、ジャージより腕や胸元が露出しているのには変わりなかった。

オレは身体に熱が集まる前に顔を逸らし、大股でAに近づく。

これでいい??なんて余裕の言葉さえ聞こえてくる。
言葉とは裏腹に、身体は少し震えているようだった。

ホント、こいつはァ!!

オレはジャージを拾って乱暴にAの頭からそれをかぶせる。

「バァカ!!バァカだ!!」

Aの頭をわしゃわしゃかき混ぜる。
ジャージを乱暴にかぶせたのと、オレの手のせいでAの髪はぐしゃぐしゃになっていた。

「嫁入り前の女が、他の男の前でンなことすんじゃねぇ!!」

Aは大人しくそのままジャージを着直す。

「おめーが何しようと、女は女なんだヨ!!ボケナス!!」

「ハァ!?金取るぞ!!」

「ハッ!!てめーの身体に払う金なんてねぇわ!!」

ぎゃあぎゃあ言い合いながら、全く手を付けていなかったタオルを再び干し始めた。

やっと終わり、東堂と新開の方に戻る。

「お、A、荒北。そっちは終わったのか」

「はい、そちらも手伝いましょうか??」

Aはさっきのが嘘のように切り替えていた。

器用なヤツ…。

「いや、もう終わる。それよりAは着替えてきたらどうだ??校舎も下校時間をすぎて閉まっていることだろう」

「…お言葉に甘えて、そうさせていただきます」

Aは更衣室に向かっていった。
女子更衣室はないので、チャリ部の更衣室もとい男子更衣室を使うわけだ。
普段、誰もいなくなってからそこを使って制服に着替えているらしい。

オレも手伝う気はないので、水道横の壁に寄りかかって待つ。

「Aが戻ったらオレたちも着替えるとしよう」

着替えたら、Aと東堂は手を繋いで帰るのか。
そう考えたら心臓が変な動きをしたような気がした。

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