絆 ―11― 荒北side ページ12
成り行きでAを家まで送ることになった。
たまたまオレが1人で帰るこいつを見つけて、迎えを呼べと言う東堂とオレの忠告を無視しやがるからこうなった。
オレの力に負けたからか、Aは少し大人しくなる。
まあ女にしちゃ、強ぇ方だったがな。
それでも女の細腕なんかに負けやしねぇヨ。
「先輩はどこ住んでんの」
「あ??寮だヨ」
「尽八さんと一緒じゃん。尽八さんは兎も角、あんたは赤の他人のあたしなんか送ったってろくなことないよ」
「ハァ??ンなもんいちいち考えてねぇよ」
「…彼女が見たら、あたし怒られんだろ」
「そんなモンいねェし」
「…知ってる。彼女いそうにないもんねぇ」
「うっせ!!バァカ!!」
Aはクスクス笑っていた。
それはお嬢様モードのときのニコニコした笑顔ではない。
面白ぇっつー笑いだ。
オレに彼女がいないっていうネタが気に食わねぇが、こいつが他人の前でこっちの自分を出して笑ってる姿を見るのは悪くねェ。
「こっちのおめーを知ってるヤツ他にいんのかヨ」
「……いない」
「ハァ??親もォ??」
「元ヤンだったことは知ってる。けど、もうこっちのあたしはないと思ってるよ。…だからいないってこと」
Aが足を止めたので、オレも止まる。
「あたしんち、ここだから。…今日は送ってくださり、ありがとうございました」
そこにある家を見上げると、でかい家がすぐそばにあった。
こいつがお嬢様だということを思い知らされる。
「次は東堂に送ってもらえヨ。面倒だからァ」
じゃあな、と付け加えて来た道を戻ろうと、チャリを反対方向へ向けた。
「…A??」
すると、女の声でAを呼ぶ声がした。
「…母様。ただいま帰りました」
げ。
母親かヨ。
オレ気まずいじゃねぇか。
「随分遅いのですね。…あ、貴方は??尽八くんではありませんよね??」
薄暗くてよく見えないようだが、東堂と違うと察したらしい。
「母様、こちらは私と同じ自転車競技部の荒北靖友さんです。尽八さんともチームメイトなんですよ」
「あら、そうでしたの。初めまして、Aの母です」
「…ハジメマシテェ。荒北っす」
「荒北先輩は私を送ってくださったんです」
「まあ、そうだったのですか。娘がお世話になりました」
母親がオレに丁寧に頭を下げてきた。
「…イエ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
poipoiaya(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます!!宣戦布告しちゃいましたー!!東堂から奪いにいきますよー☆これからもよろしくお願いします!! (2017年9月14日 9時) (
レス) id: 48d81e0108 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 執筆お疲れ様です^^あー、戦線布告キターとテンション上がりましたw今後の展開がますます楽しみです^^ (2017年9月14日 1時) (レス) id: 3d465a31eb (このIDを非表示/違反報告)
poipoiaya(プロフ) - ひかるさん» 毎度読んでいただきありがとうございます!!荒北のキャラ崩壊してませんか!?心配だったのでよかったです♪やっと荒北との恋愛が始まります!!ここまで長かった(笑)これからもお付き合いいただければ嬉しいです!! (2017年9月3日 10時) (レス) id: 48d81e0108 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - こんばんは♪更新の通知を見るたびに楽しみに、読みに来てます♪極度の靖友不足だったので26話で3割程回復しました^^;今後の展開も楽しみにしてます♪更新頑張ってください♪ (2017年9月3日 2時) (レス) id: 3d465a31eb (このIDを非表示/違反報告)
poipoiaya(プロフ) - ひかるさん» 新作の方も読んでいただいてありがとうございます♪自分でも荒北とどう絡めていこうか行き当たりばったりですが、楽しめるよう頑張っていきますのでよろしくお願いします!! (2017年8月9日 8時) (レス) id: 48d81e0108 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唖耶 | 作成日時：2017年8月7日 14時
