お前らマジでなんなの。【歌い手】

新人１７ ページ29

＊


あれから一時間位だろうか。私はやっと泣き止んで、坂田さんにすぐさま謝った。
こんなに私が溜め込んでたとは......。


「すみません。シャツが濡れちゃって......。励ましてもらったのに」



「気にせんでええって！Aさんが笑顔になってくれただけで、嬉しいし。でも、Aさんがどうしてもって言うなら......」


坂田さんは意味ありげに、言葉を止める。
気になるじゃないですか。私は坂田さんに神妙な顔で聞き返した。


「どうしてもって言うなら......？」

坂田さんはニヤリと口の端をあげると、スマホを取り出して何かを打ち込み始めた。え、何ですか。


「え、ちょ、これ......！」


遠慮がちにスマホを覗き込むと、私は唖然とした。
いやいや何やってんですか、坂田さん！


【カナさんとコラボします！楽しみにしてはってね！】


私は固まったまま某青い鳥の画面を凝視した。
え、私の初コラボ......。っていうかコラボしないって決めてたのに......！


「まぁまぁ、うらさんも呼んであるし。三人で決めよーや」


「いや、まじで、本当に何してくれてんですか坂田さんンンンン！」


私が頭を抱えて叫ぶと同時に、またインターフォンが鳴った。
まさかの渉がもう来ちゃった感じですか！？


私は速攻でドアを開けると、前に立っていた人を確認する。


茶髪で、緑のパーカーで、ちょっと低めの伸長。
わ、本当に渉が来ちゃったよどうしよう。


「あの、渉。とりま坂田さんをどうにか......」


私が渉に声をかけた瞬間、私は渉に抱き寄せられていた。
......え？


「ごめん、Aっ。俺、全然Aが悩んでたことに気づけなくて！」

新人１８→←新人１６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す