【あんスタ】存在証明 (ページ5)

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オマツリ 14 ページ5

｢オカリナと違って、この子は俺を怖がって、ぎこちない音しか出してくれない気がする。さっきから心の中で話しかけているのだが、全く返事をしてくれない｣

｢真心を込めて接すれば、楽器は対話してくれるからな｣

そう口を挟んだのは、重たそうにコントラバスを支えた北斗だった。

｢そして最大限に魅力を発揮し、心地よい音色を奏でてくれる。そんなような事を、母も言っていた｣

｢うわ珍しい、氷鷹くんのお母さん語録……。そ、そういうものなの？｣

｢うむ。母はビックリするほどテキト～なので、その発言を鵜呑みにはしたくはないが、もうすぐ本番だ。乙狩にはハーモニカと仲良くなってもらう必要があるな｣

そう言うと、北斗は乙狩くんの手の中からハーモニカを受け取ると言った。……いや、演じ始めた？

｢『アドニスくんアドニスくん。私とお喋りしませんか？』｣

｢なんか始まった！？えぇっ、そんな立て続けにボケられても困る！｣

成程、ハーモニカが喋ってくれないなら、喋らせてしまおうって戦法か！

するとスバルが何処からか持ってきたオカリナを動かし始める。

｢楽しそうっ、俺もやる～☆オカリナの役をやるねっ

『オッス！俺はオカリナ！どうしたどうしたっ、元気がないなオッちゃん！』｣

なんかどこかで聞いたことある口調では……？

｢どういうキャラなの、オカリナはっ？ていうか、人の楽器で遊んじゃだめ！｣

真がツッこむと、乙狩くんがふわりと笑う。

｢いや、構わない。みんなの心遣いが嬉しい。そうだな……壊してしまうのではないかと、及び腰で接しては良くない。こちらからも、歩み寄らないとな。ハーモニカ……。これから大事な舞台がある。力を貸してくれるか？決してお前を傷つけない。俺を信じて、最高の音色を奏でて欲しい｣

｢『浮気か、オッちゃん！酷いっ、俺とのことは遊びだったのっ？』｣

｢混ぜっかえすな明星。うむ……やはり演技も楽しいな｣

｢そういえば、北斗は演劇部に入ってるんだっけ？｣

私が聞くと、ハーモニカを乙狩くんに返して北斗が言った。

｢ああ。変態仮面……部長には演技を褒められた事はないがな｣

変態仮面という単語が引っかかったけど……でも北斗が王子様役をしてる姿とか、絵になりそうだなぁ。

と、

｢お～い、楽しそうなところ申し訳ないがのう、ちょっと良いかや？｣

さっきまでセッションしていたはずの朔間先輩が私達に言った。