【そ.ら.る】補聴器を拾ってくれたのは【歌.い.手】

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『…あれ。昨日そらるさん動画出してるじゃん。』

私の好きな歌い手のそらるさん。



音が聞き取りづらい私にとって

初めてそらるさんの曲を聴いた時

衝撃的だった。


私が耳が不自由になってから

初めてすごく聞き取りやすいと思った人。

低くて優しい声。

私はこの声に魅了されてしまった。



ライブにはこの耳ではいけないものの密かに応援する身だ。

自慢にはなるが私は絵師の「toto」のアカウントでは

フォロバをされている。

フォローされた時は心臓が止まるかと思った。




私は行きつけのスーパーへと向かった。

20分ほど歩いた場所にある。

まぁ電車を使わないだけ楽かな。

先程冷蔵庫を拝見すると見事に中が空っぽだった。

あるのは卵ぐらいだろうか。



こういう買いに行くときはまとめて買ってしばらく外に出ないのが

引きこもりあるあるだ。

…違う？


早速ラフな格好をして簡単なメイクをしてから

スーパーへ向かう。




朝ごはん用にパンを買おう。

あぁ。でも和食も捨てがたい。

なんて考えたりしながらも

さっさとスーパーでの買い物を済ます。


さて。さっさと帰ろう。

依頼がないんだからさっさと帰ってゲームでもしようかな。



ードンッ

ぼーっと歩いてしまって背の高いすらっとした男性とぶつかる。

小柄な私はぶつかった衝撃で倒れてしまった。




……あっ……！？！？

倒れたのと同時に補聴器が外れた。

補聴器が外れた片耳からはキーンと耳鳴りが響く。




『…あ。……あ…っ！……い”っいたい…！』

久しぶりに外で補聴器を外した。

正確には外れた。が正解だ。


補聴器がない都会は私にとって地獄だ。


凄く怖くて。周りの目も怖かった。

私は軽く過呼吸になっていた。

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