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コツン、コツン、と靴の音を響かせ、地下へと続く拷問室へ足を運ぶ男────太宰治の顔はまるで機械のように感情が無かった。
そんな太宰は拷問室に元々居た男、拷問され、ボロボロになり、生きているか死んでいるかも分からない男の姿を見ると、先程の顔が嘘のように途端に笑顔になる。
だがその顔は何処か作られており、恐ろしかった。
太宰はボロボロな男に近付くと
バンッ、バンッ!!
────男を銃で撃った、
「っぐ、!」
致命傷を裂けるように、まるで楽には死なせないとでも言うように、太宰は男の体を撃つ。
「……やぁ、お目覚めかい?……殺人鬼さん。」
銃の弾が切れると男に向き合う。
太宰は相変わらずニコニコと笑っていた。
「、ぁ゛あ゛」
ボロボロな男は痛みで失っていた意識を取り戻す。
……その男はAを殺した男だった、
「あぁ、ちゃんと生きていて良かった。これで死んでいたら野良犬にでもその体を食わせる所だったよ。」
そう言ってわらう太宰に男の恐怖心は膨れ上がる。
男をこんなにもボロボロになるまで痛めつけたのは太宰だからだ。
「、ナ、……こと、」
「ん?なんて言ったんだい?」
「な、で……こ、んな、ざんこくな、こと、」
その言葉を聞いた時、太宰の目は、表情は、
今までと違い、冷たく、鋭いものに代わり、男を憎悪のこもった目で睨み付ける。
「なんで、だって?」
太宰は先程男を撃った傷の跡を思い切り踏みつける。
「ぁ゛、ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、!!」
「そんなの、私が聞きたいよ。……どうしてこんなにも残酷なことをした?」
痛みに悶える男に構わず、太宰は傷跡に体重を掛け続ける。
「君があんなにも残酷なことをしなければAまだ生きて私の隣に居てくれた、
君があんなにも残酷なことをしなければAはまだ生きて私にだけ向けてくれる愛らしい笑顔を見れた、
君があんなにも残酷なことをしなければAはまだ生きてその穏やかな声で私の名を呼んでくれたっ!!」
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山猫(プロフ) - 夕霧さん» リクエストありがとうございます!リクエストは話の枠が足りないので続編にて作らせていただきます。 (2019年3月3日 20時) (レス) id: 78ed981431 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - 探偵社で殺気全開の太宰さんが見たいです。 (2019年3月3日 20時) (レス) id: 6f35473dc5 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - リクエストで夢主がナンパされたらというのをやって欲しいです! (2019年2月28日 22時) (レス) id: f1715ab2ed (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - 夕霧さん» ありがとうございます!できる限り頑張って見ます! (2019年2月15日 23時) (レス) id: f0811da8b0 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - この作品大好きです!続きお願いします! (2019年2月14日 22時) (レス) id: 6f35473dc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山猫 | 作成日時:2019年1月7日 21時