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No side


次の日、太宰を除く探偵社員は事務所で重い顔をしていた。


それは太宰が死んでしまったAをどれ程愛していたのかを知っていたからだ。



バタンッ


「皆さん、おっはよォ〜!!」



そんな重々しい事務所の扉を軽快に開けたのは太宰だった。


いつもと変わらぬ態度に探偵社員は逆に違和感を覚える。


「……太宰さん…?」


違和感を持ち、声をあげたのは敦。


「うん?どうしたんだい?君達、妙に暗いねぇ。」


事務所を見渡して首を傾げる太宰。



「……どうしてって、昨日、Aさんが死んでしまったから…」


「……」


「結局、犯人も異能力者だったらしく、逃がしてしまうし…」



どんどんと泣きだしそうになる敦に太宰は“敦君”と声を掛ける。



「敦君、君、何言ってるんだい?……Aならここに居るじゃないか(・・・・・・・)。」


「……ぇ、」



太宰は隣の“何も無い空間”を抱き締める。
太宰の腕の中にはちょうど女性が一人入れそうな大きさ。



「敦君ってば、変なことを言うね?A。」


返事は無い。
そこには誰も居ないのだから。


けれど太宰は何かに笑いかけ、何かにとても穏やかな声で語りかけている。


……その姿はまるで、Aが居る時と同じ姿だった。



「……太宰、お前の昨日の記憶はどうなっている?」



誰もが呆然とする中、事務所の奥のデスクから真剣な声がした。



「?昨日ですか?私とAと国木田くんと敦君で幕僚護衛の依頼に行きましたね。途中、Aが撃たれた時は冷や冷やしましたよ。」



“ねー?”と何も無い空間に笑いかける太宰。


「…その後は?Aが撃たれた後どうなった?」


「……何言ってるんですか?乱歩さん。与謝野先生が助けてくれたじゃないですか。」



そんなはずない、と与謝野は思う。
何故なら与謝野が来た時にはもうAは手遅れ(・・・・)だったからだ。



再び沈黙に襲われる事務所。



?を浮かべる太宰は“良く分かりませんが、Aと川にいってきまーす。”


といつも通りサボりに出掛けた。

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山猫(プロフ) - 夕霧さん» リクエストありがとうございます!リクエストは話の枠が足りないので続編にて作らせていただきます。 (2019年3月3日 20時) (レス) id: 78ed981431 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - 探偵社で殺気全開の太宰さんが見たいです。 (2019年3月3日 20時) (レス) id: 6f35473dc5 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - リクエストで夢主がナンパされたらというのをやって欲しいです! (2019年2月28日 22時) (レス) id: f1715ab2ed (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - 夕霧さん» ありがとうございます!できる限り頑張って見ます! (2019年2月15日 23時) (レス) id: f0811da8b0 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - この作品大好きです!続きお願いします! (2019年2月14日 22時) (レス) id: 6f35473dc5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山猫 | 作成日時:2019年1月7日 21時

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