le petit cadeau (ページ36)

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暗めの茶髪は軽くセットされていて、
無地のスウェットが様になっています。
なんだか、すごく大人の男の人に見えました。

髪色とか、服装とか変わってはいたものの
私はすぐに気付きました。

心が高鳴って、久しぶりのこの感覚が戻ってきました。

彼は注文したコーヒーを受け取って、
混雑している店内で空いている席を探しています。

高校時代とは違う
大人の推しに目を逸らせませんでした。

どうか、気づかないで

…私に気づいて

そうして重なった２つの視線。

『…！』

私は慌てて目を逸らして平然な振りをしました。
心の中では大騒ぎしています。

嘘、気づかれた？
見過ぎだよ、私の馬鹿！
でも、もしかしたら気づいてないかもしれない！

どうしよう、

様子を見るために、今度はバレないように
店内をちらっと見るフリをしてもう一回、彼を見ました。

彼は私を見て、少し口角を上げて
いつかすれ違った時のように会釈をしました。

よく覚えていないけど、
私は慌てて会釈を返した様な気がします。

「…もしかして」

この時、私は長い間あやふやだったこの定義に
結論を出すことができました。

突然黙って、ある人を見つめていた私の
視線の先を追っていた友達は、一部始終を見ていました。
そして、私に視点を戻し、嬉しそうに笑いました。

『…うん』

定義は人それぞれですが、
好きな人には自然に私をもっと見て欲しい、
もっとあなたに近づきたいという思いが出てきます。

ウォヌさんは私の"好きな人"です。