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それから暫く
図書室に姿を現すことのなかった彼は
今日久しぶりに来訪した
「あれ、今日もサボり？」
MG「ちげーわ、今日は休みなの」
「…」
MG「疑うな、」
図書室は校舎の3階にあり、
窓からはグラウンドの様子が見える。
彼はサッカー部の練習の様子を、
窓にもたれながら見ていた
「此間廊下走ってるところ見たよ」
MG「見てたの、
あの先生に後でネチネチ怒られたけどね」
「でも何か面白かった」
MG「ひでーな、人が怒られてるところを」
「…ごめんごめん」
それから会話の無い静かな時間が流れた
私は次の月の図書だよりの準備を始め、
またパソコンと睨めっこしていた
今回のテーマは青春小説
恋とか部活とか、甘酸っぱい要素があるのが青春モノの良さだ。
それをどう上手く文字にのせて伝えるかが
難しいところだ
練習を見るのに飽きたのか彼は私の横に
来て持ってきた椅子に座った
反射的に画面を原稿から
ネットニュースのサイトに切り替えた
明らかに可笑しな行動だったのに
彼は何も言わなかった
MG「…」
ただ私を見つめるだけで、
本当に何も、言わない
「…？」
視線が刺さり、穴が開いてしまいそうだ
顔が赤くなり、
そろそろ限界が来そうな時彼は口を開いた
MG「お前さ、も少し自信持てよ」
「…え？」
MG「…なんとなく思っただけ、
じゃあ、帰るわ」
席を立ち鞄を持って出ようとする彼
「…ああ、うん、お疲れ」と言って
見送ることしか出来なかった
ぶっきらぼうだけど、暖かい
心がじわじわあったかくなってくるこの感じ
" MG「そ？これ結構面白いと思うけど」"
" MG「…お前さ、も少し自信持てよ」"
頭の中で回想される彼の言葉
その有り難みに気づいて
感謝の気持ちがいっぱいになった
…あれ、私
彼にお礼の言葉一言も言ってない
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作者名：89 | 作成日時：2023年4月8日 15時
