le petit cadeau (ページ22)

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最後に店の鍵を閉めて、
今日の仕事は終わりを迎えた

『お疲れ様でした！』

「お疲れ様です、」

家の方面が違う為
ここで俺らは解散となる

『夜なのに暑い…
　冷房が効いたお店の中にいたから
　急に暑さがきますね』

「ほんとキツイな…
　帰るのも面倒なくらい動きたくなくなるわ」

通勤用の自転車のロックを外していると
彼女が何か思い出したように、
鞄の中をごそごそしだした

『良かったらこれどうぞ、』

渡されたのは
今度の日曜に開催される
グルメイベントのパンフレット

若手の料理人がそれぞれキッチンカーで
色々な料理を販売するという内容で、

公園の中でご飯を食べながら
のんびり過ごせそうなイベントだ

結構好きな雰囲気だから
行ってみたい気持ちもある

…日曜日は確か何もなかったはず

「これどうしたの？」

『街歩いてたらこれ配ってる人いて…
　ジフンさん、
　こういうの好きかなって
　なんとなく思い出したんです』

「よく分かったね、
　…こんなイベントあったとは知らなかった」

『今年から始まったみたいですよ

　…私も実は気になってて、
　このサンドイッチとか美味しそうですよね』

これは誘うチャンスなのか…？
こういう時どうすれば、

　

…もう知らない
勢いにのって言ってしまえ

「行く？…一緒に」

雰囲気も何もない誘い
人生で1番ダサい瞬間だと思う
なんて情けない男なんだ俺は…

投げやりに言った言葉に
彼女は顔を上げた

目を少し開いて
すこし驚いた顔をしている

『え？ああ、そうですね』

『ジフンさんが良ければ…行きたいです』

『…ジフンさん？』

「…」

『…ジフンさん？どうしました？』

「…ああ、何でもない」

ふわふわしている
この気持ちは何だろう

幾度か確信しそうになっては
振り出しに戻り、

2人で過ごすこの時間を
心地よく感じていた

この曖昧な感情がカタチになるまで
どれくらい時間があるのだろうか

『じゃあまた明日、』

「…気をつけて帰れよ」

それはきっと、

知らないうちに目の前に来ている