le petit cadeau (ページ21)

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オムライスはここからが本番

卵を軽く溶いて、
フライパンにバターを入れて
全体に馴染ませる

素早く卵を流し入れ、
スクランブルエッグのように
混ぜながら少しずつ、少しずつ火を通す

半熟になったところで片方に寄せて
オムライスの形をつくり、
ひっくり返す

『すごい…綺麗』と、目を輝かせる彼女に
少しばかり気分が上がる

チキンライスの上にオムレツをのせて、
ナイフで卵に切れ目を入れて開く、

よし、上出来だ

最後にケチャップをかけて、
ふわとろなオムライスの完成

『いただきます！』

「…どうぞ」

毎度のことだが、この瞬間が1番緊張する

『ジフンさん、すっごく美味しいです！』

「…おう」

『卵もふわふわで、もう幸せです』

そして1番嬉しい瞬間でもある

何より彼女の喜ぶ顔を見ることが
最近の楽しみなのだ

作ってくれたものを
美味しいと言ってくれることが
料理人名義につきるというか…

本心はただ嬉しそうに
俺の作った料理を
食べる彼女を見るのが好きなだけ

…この言い方は少し変態みたいだけど

『美味しかったなあ…沢山食べちゃった』

「それは良かった」

『賄いのせいで最近太ってきましたよ〜』

「そうか？」

『美味しいから良いんですけどね』

「…」

まっすぐな彼女の言葉に
心に羽が生えたようにふわふわした気持ちになる

見習いの俺は人に評価を受けることが少ないため、
この言葉はより深く心に響いた

簡単な片付けをして
私服に着替えた後、最後に店の中をチェックする

「忘れ物ない？」

『大丈夫です！携帯も財布もあります』

「…あの、さっき言おうと思ってたけど
　エプロンつけたままだよ」

そういうのは早く言ってくださいよ、と
焦った顔でエプロンを外した彼女

普段なんでも器用に仕事をこなして
しっかりしている反面、
少し抜けている所もあって面白い