Genuine WZ ページ19
朝6時時過ぎ
太陽が昇る前の
淡い色と濃い色が混ざった空
ここのレストランは
住宅街の中にある。
まだ早い時間だから
静かで、心地が良い
見習いシェフとして働き始めてから
2回目の夏
俺の１日は
仕込みから始まる
玉ねぎ、人参とか野菜の下処理から
人気メニューであるハンバーグの肉ダネ作り
決して楽ではないが
大量のタスクを
淡々と終わらせていく作業が
ストレス解消になる
また何よりこの静かな時間が
お気に入りなのだ
それに最近は仲間も増えたし、
カランカランと裏口の扉が開いた
来ました
最近できた仲間です
ジフンさん、おはようございます！と
朝から元気なあの子
制服に着替えてから
俺の所に駆け寄ってくる
彼女はここで
ウエイトレスとして働いている
ここから近い大学に通っていて
将来は英語の先生になりたいのだとか
食べ物が大好きで
たまに俺の試作品をみてもらったりしている
「ジフンさん、
…今日なんだかオムライスが食べたい気分…です」
『…そうなんだ』
「まかないで作って下さい！お願いします！」
『考えとく』
考えとく、といったものの
既に俺の頭の中はオムライスをどう作るか
シュミレーションしている
まかないとはいえ、
自分の料理を食べて貰う貴重な機会だ
料理人としての力量を発揮したい
「…楽しみだなあ、」
『はいはい分かったから、
掃除しておいで』
「はい、じゃあ行ってきます」
すこし豪華なデミグラスソースが良いか
王道のトマトソースか
卵はとろとろの半熟か、硬めか
彼女はどっちが好きなんだろう、
どんな風に作れば喜んでくれるのだろうか
自分の練習になるのは
勿論そうだが、
いつも美味しそうに食べてくれる彼女の
反応が好きで、ついつい力を入れてしまう
今日はオムライスと一緒に
試作のプリンアラモードを出してみよう、
たしか前話した時
好きだって言ってたっけ
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作者名：89 | 作成日時：2023年4月8日 15時
