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「ジフナ〜、やっぱりジフンしか勝たん」
『はいはい』
「…もう、聞いてますかあ？
ジフナは自分の良さをもっと知らなきゃ！
分かってるう？」
『はいはい』
「…んふふ、ジフナしか勝たん」
定期的に行われるサシ飲みは
今日で何回目になるだろうか
毎度、色々と大変なのだが、
誘いを断れないのは彼女のせい。
すっかり彼女は出来上がって、ダル絡みが始まった。
彼女は酔うと人をベタ褒めする癖がある。
男女問わず、誰に対しても
天然人たらしなのだ。
こんなに褒められて、満更でもない野郎どもを
今までの飲み会で何人見てきただろうか。
ほんのり色づいた頬、甘い瞳
来るんじゃなかった。
「でも、もうすこし優しくしてくれても良いんだよ？」
『これ以上は給料発生でもしない限り無理
お前…飲み過ぎ、これで終わりね』
「…はあい」
俺大丈夫かな
下心が見え隠れしてるのに
罪悪感がすごい
悪いことをしている気分になる。
『今日は早く帰って寝ろ、隈できてんぞ』
「…え、ほんと？」
この飲み会が行なわれるのは
きまって彼女に何かあったとき、
嬉しい出来事も、悲しい出来事も両方
嬉しかったことは彼女から
これでもかというほど話してくれる。
でも、辛いことは一切話さないし、
そんな素振りも見せようとしない。
ネガティブな感情を他の人に与えて、
うつしたら嫌だ、と彼女はいつか話してくれた。
今日は早く帰らせなければ、
せめての罪滅ぼしも兼ねて、
『すみません、お会計お願いします』
「ジフナ、足に力が入らない、助けて」
ほら言わんこっちゃない
…飲み過ぎだばか
『あ…今この子動かすんでちょっと待って下さい、
すみません』
店主「いえいえ、可愛いらしい彼女さんね
ゆっくりどうぞ」
『あ、いや…』
「きゃー！うれしい！
でも彼に私はもったいないです、ふふ」
『おい』
店主「あらら笑」
後で金請求するぞこら
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作者名：89 | 作成日時：2023年4月8日 15時
