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無配慮な言葉を弁解しようと慌てていると、お客様は突如として席から立ち上がった。…と思えばおもむろに膝をつき、両手を胸の前で組んだ。
「僕を、貴方の信者にしてください！！」
空気を介し、店内全域に響き渡ったに大きな声。心配そうな、物珍しそうな、様々な視線がこちらに集中する。
私はこの言動の意図が全く掴めず、困惑ではち切れそうになっていた。脳内で何度も彼の言葉を再生し、そしてどうにか解釈しようにも理解が及ばず処理が終わらない。
『え、っと…お客様、いかがなさいましたでしょうか…？』
兎にも角にも伺い立ててみるが、目の前の男性は熱を帯びた瞳でこちらを見つめてくるだけ。己の言動は何も間違っていないと言わんばかりの真っ直ぐな瞳で、あまりの圧に気圧されそうになる。
衝撃から冷静になって考えてみて、様々な可能性は浮かんだ。人違い、罰ゲーム、新手のナンパ。どれもそれらしい理由なはずなのに、その全てが選択肢から除外される。ただひとえに、彼の有無を言わさぬ雰囲気によるものだった。
『…あ、あの……？』
私がどれほど助けを求める顔をしようと、彼は何も応えてくれない。
何を言っていいのか分からず、しかしこのまま睨み合いを続けるも不気味に思えててきてしまい、他テーブルの注文を取る為と称して逃げるようにその場から立ち去ってしまった。
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作者名：えん | 作成日時：2024年2月27日 15時
