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「そんなの、俺にも分からへん」
『⋯⋯』
「ただ、アイツのこと必死こいて追いかけて、秘密をバラすようなことまでして助けて。そういうとこ見て、何となくムカついたんや。俺の時は逃げたやないですか。なのに⋯⋯」
そこまで言うと、ショッピくんの口は再び閉じた。彼は地面を見つめている。何かに迷うように何度か視線を彷徨わせた後、ふわりと身体の締め付けが失われた。離された腕が、強く掴まれていたせいで、じんじんと熱を帯びている。
「⋯⋯もうええわ。なんか、冷めました」
それだけ言うと、ショッピくんは飛んでいってしまう。私は彼の後ろ姿が小さくなるまで、そこに立ち尽くしていた。怪鳥の甲高い鳴き声が遠くで聞こえ、ようやく試験中であることを思い出した私は、ゴールに向かって大急ぎで進むのだった。
ー
「⋯⋯何やったんや」
何も出来ぬままに去っていく2人を見送ったチーノは、力無く呟く。強い嫌悪を向けられたような気がしたが、果たしてあれがなんだったのか、そもそも途中で現れた男はAにとっての何なのか、全く分からぬままに放置され、やるせないような気持ちだった。
チーノはすくりと立ち上がると、翼を何度か動かした。植物に吐き出された直後に感じた痛みはなく、どうにか背中に手を伸ばしてみても、異常のある箇所は見つからなかった。彼女が自分の背後で何をしていたのか全く見えなかったが、唐突な自傷行為から察するに、自らの身を傷つけて怪我を治してくれたことは確かだろう。
悪魔は基本的に、自分勝手で他の悪魔への関心が薄い生き物だ。優しさなんて、雨粒程度にしか持ち合わせていない。相手に手を差し伸べるのは、面白半分か、自分の利益になるからかのどちらかだ。しかし、彼女の必死な表情からは、本来滅多に見ることは出来ない献身の気持ちが読み取れた。
「ほんま、不思議な子やなぁ⋯⋯」
痛みがまだ残るであろう腕を押さえ、唇を噛み締めながらも微笑みかける彼女の顔が、チーノの脳裏にありありと映される。瞬間、ぞくりと身体に電波が走るような感覚がして、彼は思わず自分の口元を隠すように手をやった。
「⋯⋯ほんまに散々やったけど、ちょっとはええ事もあったな」
にやける顔を軽く叩き、チーノは地面を蹴る。まだ試験は終了していない。彼はゴールで待っているであろう少女の姿を思い浮かべ、その場を後にした。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
