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『ち、チーノくん⋯⋯！』
「いった⋯⋯う、うぅ、酷い目に遭ったわ⋯⋯」
チーノさんはずり落ちたメガネを直し、よろよろと地面に手をついて座り込んだ。身体が粘液で汚れている。ハンカチではどうにもならなさそうだと、ポケットに入れた手を出して近寄った。
『大丈夫？ けが、とかは⋯⋯』
「わ、わからへん⋯⋯ぐ、背中が、⋯⋯ど、どうなってます？ ちょっと見てみてほしいんやけど⋯⋯」
『うん⋯⋯あ、翼が⋯⋯』
彼の背中に回り込んで見てみると、翼の付け根には浅い裂け目ができていた。魔植物の蜜と血液が混じり合い、薄い赤が滲んでいる。
『傷ができてます⋯⋯動けそうですか？』
「えぇ？ ど、どうやろ⋯⋯」
自分では確認できない怪我の具合を想像してか、彼の顔は目に見えて青くなった。恐る恐ると翼を広げようとした彼は、呻き声を上げてその場にうずくまる。
「い゛ッ⋯⋯、む、むりや、クッソ痛ぇ⋯⋯！」
『あっ、無理に動かさないで！』
「はぁっ、⋯⋯最悪や、このままじゃもう、試験受けられへん⋯⋯」
チーノさんの声は震えていた。彼にとっても、ランクは重要だったのだろう。その気持ちは自分にとっても覚えがあり、胸が痛んだ。
「す、すんません、Aさん⋯⋯僕のことは放っておいて、先行ってください。多分、他の奴らはもう結構進んでしまってるやろうし⋯⋯もしかしたら、ゴールした奴もおるかも」
『そんな、でもチーノさんが⋯⋯』
「僕はもう無理ですわ⋯⋯すまんけど、先生か誰か呼んできてもろてもええかな。めちゃくちゃ情けないけど、しゃあないわ」
チーノくんが力なく微笑む。痛々しくて、とても見ていられなかった。どうにか、せめて彼を試験に復帰させたい。⋯⋯そして多分、私ならそれができる。拳を握り締め、覚悟を決める。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
