BITTER SWEET (ページ40)

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本当はヒョンがずっとAヌナを好きなことはわかってた。

だって、あのヒョンもわかりやすいから。

それに、Aヌナが心配していたミナヌナとのこと。

いとこだってことも知らないみたいだったから、あえて言わなかった。

だって、どうしても好きだったから。

ずるくたっていいって、そう言い聞かせてきた。

それでも。

医務室の中、ヒョンに気持ちを聞かせて欲しいと言われたヌナの答えは。

『わたしもずっと、ユンギさんが好きでした。』

それを聞いてしまえば。

俺の足は逃げるようにその場から遠ざかって。

ずるいことをしても、ふたりの邪魔をしても、いくらヌナに好きだと伝えても。

もう、どうすることもできないんだとわかった。

ヌナはヒョンのもとへすぐにでも行きたいだろう。

でも優しいから、罪悪感で俺に別れを告げるのを躊躇うんじゃないか。

だったら、俺からヌナの手を離してあげなきゃいけない……。

そうして思いついたのが、さっきの出来事だった。

俺がああやって言えば、ヌナは罪悪感なく、ヒョンのところに行くことができるはずだから。

これで……

TH「……これでよかったんだ。」

ひとり、そんな言葉がこぼれて。

控室の隅の方でぼーっとしながら。

ふと、ポケットの中。

今日ヌナに渡すはずだった小さい箱を取り出して。

TH「……出番なくして、ごめんな。」

なんかのドラマみたいだけど、川に投げ込むか、なんて考えながら立ち上がれば。

「テヒョン！！」

勢いよく控室に入ってきたその人に思わず目を見開く。

TH「……びっくりした。

驚かさないでよ、ユンギヒョン。」

YG「……、お前、あいつに何言った。」

そう言って、このヒョンは俺を鋭く睨みつけた。