西日10 ページ10
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1時間ほど話したあと、岸くんが用事があるということで解散になった。
日陰のテラス席とはいえ1時間も外にいたため暑さで体力を奪われ、肌がベタつく。
「Aちゃんまた来るね」
「またおまけしてね」
「あ〜美味かった」
「A、明後日 遊ぼうね〜！」
『神宮寺くん、麻里かりるね！』
みんなとお別れしていると、とんとんと肩を叩かれた。
振り返る間もなく耳元で囁かれた声に、本日最高速度の脈拍を感じる。
−−−ちょっと店で待っとって
ちょっととはどれくらいだとか、なんでみんなに聞こえないように言うのかとか、肩叩く力が強すぎだとか、会ってない間にどんだけ黒くなってんだとか、私服はもう少しオシャレしてるんだよとか、レギュラー復帰おめでとうとか、言いたいことはたくさんあったけれど、このドキドキを抑えることに全神経を集中させていたため、うん と頷くことしか出来なかった。
みんなと共に駅の方へ歩いて行った永瀬の背中を見送り、私も店の裏の自分の自転車を取りに行く。
ついでにロッカーにもう一度入って鏡を見ながら身嗜みを整えた。
薄づきだがファンデーションとリップを塗るだけでも違うだろう。
あとは家に帰るだけだし、どうせこの化粧だって暑さですぐに意味を無くすことは容易に想像出来るのに、何かしないわけにはいかずに手を動かす。
これはあれだ。マナーだマナー。
最後に制汗スプレーをふり表へ戻ると、ちょうど自転車に乗った永瀬が店の前に着いたところだった。
『なんだ、自転車取りに行ってたの？』
「おん。駅に停めててん。もう帰るだけ？」
よかった。
普通に話せてる。
もう帰るだけだと伝えると、送ると一言呟いて、永瀬も自転車から降りて歩き出した。
「先生、予想外」
『あ〜まぁあの日は特にチャラかったかも』
「まさか先生が金パとは思わんやん」
『来年から社会人だからさ、今のうちに染めとくんだって』
「あれ、キャップおそろ？」
『さすがに違うよ。てか、よく見てるね！もう近場だからって気抜いた格好できないな…』
「いや、あれは別に良い格好やろ。こっちは寝巻き見とるんやから」
『うわ〜〜もういい加減忘れろ！！！』
「むーりー。あんな不審者忘れたくても忘れられんわ」
なんでだろうか。
みんながいる前ではあまり話すことができないのに、二人になると饒舌だ。
久しぶりで懐かしい永瀬との会話。
まだまだ家に着かなくていいのにと、いやらしいほどのパワーを持った夏の夕日に小さく念を送った。
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ぱぴこ(プロフ) - kikiさん» 登録ありがとうございます（ ; ; ）疾走感あふれるなんて、勿体ないお言葉です…！続編や他の話も、私の自己満足になってしまいそうですが、もしお気に召されましたら光栄です！嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！ (2019年7月26日 20時) (
レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - えり☆★さん» ありがとうございます！自分で設定したくせに、1の方は書いていて苦しかったです…笑、続編でもキュンキュンをお届けできるよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします！ (2019年7月26日 20時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 検索でこちらのお話に導かれるようにたどり着き最後まで拝読しました。青春いいなぁと思いつつも、とっかかりが切なくて。最後まで可愛いヒロインとれんくんでした。素敵なお話と疾走感あふれるストーリーにファンになりました。お気に入り登録させていただきます。 (2019年7月26日 3時) (レス) id: 0a1831ac10 (このIDを非表示/違反報告)
えり☆★(プロフ) - 完結おつかれ様です！もうたくさんのキュンキュンありがとうございます！！紫耀くんも好きな私にとっては、、前半、主人公と同じくらい苦しかったです（笑）でも、でも、最後の最後、告白しあう所でデレデレニヤニヤしちゃって(^^)続編楽しみにしてます！ (2019年7月25日 7時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！更新もバラついていたのに嬉しいです（ ; ; ）実は回収し忘れていたネタが1つありまして、続編を作ることにしました！また宜しくお願いします！ (2019年7月22日 15時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年6月22日 0時
