追い風39 ページ39
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寝癖を指摘したら立ち止まった永瀬は、信じられないという顔で私を見ていた。
振り返った私を凝視して、徐々に呆れ顔になりため息をつかれる。
「もう、おれ、おまえ、きらい…」
『ええ！ごめん！
いや、寝癖ついててもイケメンだよ！』
「やっとイケメン言うたと思ったらこんな流れかーい」
『いや〜さすが永瀬だな〜！
寝癖さえもファッションというか味方にするというか！』
「もういいて！ なに？どこ？」
『ほら、ここ……』
そう言って寝癖を直そうと手を伸ばすと、思ったより近づいたことに驚いて、髪に触れる前に固まってしまった。
あの日は後ろから抱き締められただけだから、こんなに真正面で近づいたことなんて初めてで、意識した途端に心臓がばくばくと暴れ出し、その一瞬だけ私の周りだけ全てがシャットアウトされたような、時が止まったような錯覚を起こしてしまう。
悟られないようにすぐに手を伸ばして髪を撫でると、その感触から全ての五感が彼を捉えた。
「………なあ、いつもほんとに無意識なん？」
『な、にが………』
「なんもない。行こ」
彼が先を行き、私を振り返る。
さっきと逆転した位置と、大股でどんどん先に進む彼の背中に、思わず気持ちを伝えたくなり、僅かに残っていた冷静な自分を奮い立たせて声を飲み込む。
小走りで追いつくと、彼は歩幅を合わせて並んでくれた。
「入籍いつ？」
『今週の土曜日』
「その日、夜会えん？」
『会える』
「ん。またラインする」
横を通り過ぎる車やバイクの風を感じながら、ぽつぽつと会話する。
アスファルトで固められた大通りに面した小さな公園では、小学生の男の子たちが上半身裸になって水道の水を浴びていて、漠然と、あんな風に自由になってみたいとぼんやり考えた。
永瀬と一緒にいるのはいつも突然で、服装もメイクも考えることがないままで会っていた。
それが、初めて、前もって会う約束をしてしまった。
それだけで、どうしてこんなに考えてしまうんだろう。
どんな服装が好きだろうか。
メイクの勉強もした方が良い。
香水とか付けた方が良いのかな。
ヘアアレンジも大してしたことないし…
公園の少年たちのように、なにも身構えずにありのまま、思い切り生きれたらと少しだけ勝手なことを思いながら、冷静を装った。
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ぱぴこ(プロフ) - kikiさん» 登録ありがとうございます（ ; ; ）疾走感あふれるなんて、勿体ないお言葉です…！続編や他の話も、私の自己満足になってしまいそうですが、もしお気に召されましたら光栄です！嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！ (2019年7月26日 20時) (
レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - えり☆★さん» ありがとうございます！自分で設定したくせに、1の方は書いていて苦しかったです…笑、続編でもキュンキュンをお届けできるよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします！ (2019年7月26日 20時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 検索でこちらのお話に導かれるようにたどり着き最後まで拝読しました。青春いいなぁと思いつつも、とっかかりが切なくて。最後まで可愛いヒロインとれんくんでした。素敵なお話と疾走感あふれるストーリーにファンになりました。お気に入り登録させていただきます。 (2019年7月26日 3時) (レス) id: 0a1831ac10 (このIDを非表示/違反報告)
えり☆★(プロフ) - 完結おつかれ様です！もうたくさんのキュンキュンありがとうございます！！紫耀くんも好きな私にとっては、、前半、主人公と同じくらい苦しかったです（笑）でも、でも、最後の最後、告白しあう所でデレデレニヤニヤしちゃって(^^)続編楽しみにしてます！ (2019年7月25日 7時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！更新もバラついていたのに嬉しいです（ ; ; ）実は回収し忘れていたネタが1つありまして、続編を作ることにしました！また宜しくお願いします！ (2019年7月22日 15時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年6月22日 0時
