閃光18 ページ18
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『いや、違うって。家族と電話してた』
「は?今どこおるん」
『私は家にいるんだけどね、お母さんたち旅行中なの。』
「お前ひとりなん?」
『そう。いいでしょ、一人でやりたい放題だよ』
「………今日花火大会やな」
『そ、だね。永瀬は誰と行くの?』
「行かん。暑いし」
『ええ!!!!』
「え、なに!?」
『いや、てっきり女の子と行くのかと…』
「暑いの嫌やん」
『ふーん』
「なにそのちょっと嬉しそうな感じ」
『いや、永瀬もぼっちかと思って』
「うっざ!どうせ今年は石井おらんからお前が一人やろうと思って親切心で電話してやったのに」
『いいの!一人時間満喫するんだから!
お風呂で音楽聴いて、涼しい部屋でDVD見てスイーツ食べるんだから!』
「いや、まあ、絶対それ楽しいわ…」
『でしょ?花火は麻里から話聞いて楽しむよ』
「ああ、そー」
『うん』
「うん」
『……………そういう、感じだから』
「おん…んじゃ、また」
『うん、じゃあね……』
なんだったんだ。
本当に何の用もなかったみたいだ。
まあ、永瀬が女の子と花火に行くことはないことが分かって安心したし、そもそも電話掛けてきてくれて嬉しかったけど。
昨夜の苦しさから一気に解放されて、嬉しくて気持ちが晴れやかで、家の掃除でもしとこうと腰を上げた。
音楽をかけてノリノリで家の掃除をする。
普段は全く手伝いたくないことも、ひとりだと捗っていくのが不思議だ。
細かい部分の埃も取って、雑巾掛けなんかしちゃって、永瀬が女の子と花火大会に行かないと分かっただけで、どんな面倒なことも簡単に済ませてしまう。
掃除が終わったら料理でもしよう。
今頃、麻里たちは屋台でも周っているだろうか。
あの二人は本当に美男美女で、優しくて明るくて、誰もがお似合いだと言うだろう。
まだ付き合いだして1ヶ月弱だけど、部活でずっと一緒に頑張ってきたからか、信頼しあっているしお互いを想っているのが見て分かる。
うちの両親しかり、姉たち、麻里たち、みんな出会うべくして出会って、過ごして、努力して今を過ごしているのだ。
私はどうなんだろう。
まだ、永瀬のことをほとんど知らない。
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ぱぴこ(プロフ) - kikiさん» 登録ありがとうございます( ; ; )疾走感あふれるなんて、勿体ないお言葉です…!続編や他の話も、私の自己満足になってしまいそうですが、もしお気に召されましたら光栄です!嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます! (2019年7月26日 20時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - えり☆★さん» ありがとうございます!自分で設定したくせに、1の方は書いていて苦しかったです…笑、続編でもキュンキュンをお届けできるよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします! (2019年7月26日 20時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 検索でこちらのお話に導かれるようにたどり着き最後まで拝読しました。青春いいなぁと思いつつも、とっかかりが切なくて。最後まで可愛いヒロインとれんくんでした。素敵なお話と疾走感あふれるストーリーにファンになりました。お気に入り登録させていただきます。 (2019年7月26日 3時) (レス) id: 0a1831ac10 (このIDを非表示/違反報告)
えり☆★(プロフ) - 完結おつかれ様です!もうたくさんのキュンキュンありがとうございます!!紫耀くんも好きな私にとっては、、前半、主人公と同じくらい苦しかったです(笑)でも、でも、最後の最後、告白しあう所でデレデレニヤニヤしちゃって(^^)続編楽しみにしてます! (2019年7月25日 7時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます!更新もバラついていたのに嬉しいです( ; ; )実は回収し忘れていたネタが1つありまして、続編を作ることにしました!また宜しくお願いします! (2019年7月22日 15時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぴこ | 作成日時:2019年6月22日 0時