西日12 ページ12
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麻里と一日遊ぶのは2ヶ月ぶりだ。
あの頃はまだ、私は紫耀くんに、麻里も神宮寺くんに片思いだった。
カフェに入って話すのはいつも互いの好きな人の話ばかりで、今となっては恥ずかしい妄想トークを繰り広げたものだ。
昨夜、永瀬は睡魔に負けず頑張ってくれたらしく、神宮寺くんは新しいパスケースが欲しいことが判明した。
麻里に伝えると、さっそくお揃いで使えそうなデザインを探し始め、初々しいその姿に温かい気持ちになる。
『はあああ、親戚のおばさんの気分……』
「あははは、いつも見守ってくれてありがとね〜叔母さん！」
『麻里、幸せになりなさいよ〜』
「十分幸せだよ〜！ねえ、どうやって勇太の欲しいもの聞いてくれたの？」
『あー、永瀬だよ。昨日の夜 頑張って聞き出してくれたの』
「え…………Aはそれを、どうやって廉くんから聞いたの？」
『ふつうにラインだよ』
「……………ほう」
口を手で覆いながら、なるほどなるほどと一人で納得している麻里。
神妙な表情から徐々にニヤニヤとし始めた彼女を見ていると、ふと、後ろに貼ってあるポスターが目に入った。
『花火大会、来週か〜』
「あ、さくごめんね！今年は勇太と行っていい？」
『当たり前でしょ！最高のデートじゃん』
去年は麻里と二人で行った花火大会。
確か祭りを楽しんでたら、紫耀くんと姉が浴衣で手を繋いで花火を見ているところを目撃してしまって一人で苦しくなったんだっけ。
楽しい雰囲気を壊したくなくて麻里には言わなかったけど、暑いのに冷や汗が伝って花火の音も聞こえないくらい心臓がドクドク煩くて、切なくて苦しくて、一人を思い知らされたお祭りだった。
『まあ、今年はその日やること決まってるんだ』
「え、なになに！？廉くん！？」
『なんで永瀬！？
その日家に一人なの！先生の実家が愛知なんだけど、うちの親とお姉ちゃんたち招待して貰ったらしくて3日間旅行でね。
私3日間フリーなの！もう天国！何しよう！』
「あ〜わかる！家に一人ってテンション上がる」
『正直、花火大会よりテンション上がってるんやだよね』
「とりあえず夜更かしして音楽かけて映画でも見るよね！」
『さすが麻里！わかってる！』
そう。今年は本当に一人だ。
でも大丈夫。
紫耀くんとお姉ちゃんも、麻里と神宮寺くんも、みんな大好きなまま変わらない。
去年の私は、きっとズタボロでどん底にいる気分だったと思う。
こんなにも一人でも楽しみなんて、去年の私に教えてあげたいと、一人で思いっきり伸びをした。
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ぱぴこ(プロフ) - kikiさん» 登録ありがとうございます（ ; ; ）疾走感あふれるなんて、勿体ないお言葉です…！続編や他の話も、私の自己満足になってしまいそうですが、もしお気に召されましたら光栄です！嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！ (2019年7月26日 20時) (
レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - えり☆★さん» ありがとうございます！自分で設定したくせに、1の方は書いていて苦しかったです…笑、続編でもキュンキュンをお届けできるよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします！ (2019年7月26日 20時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 検索でこちらのお話に導かれるようにたどり着き最後まで拝読しました。青春いいなぁと思いつつも、とっかかりが切なくて。最後まで可愛いヒロインとれんくんでした。素敵なお話と疾走感あふれるストーリーにファンになりました。お気に入り登録させていただきます。 (2019年7月26日 3時) (レス) id: 0a1831ac10 (このIDを非表示/違反報告)
えり☆★(プロフ) - 完結おつかれ様です！もうたくさんのキュンキュンありがとうございます！！紫耀くんも好きな私にとっては、、前半、主人公と同じくらい苦しかったです（笑）でも、でも、最後の最後、告白しあう所でデレデレニヤニヤしちゃって(^^)続編楽しみにしてます！ (2019年7月25日 7時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！更新もバラついていたのに嬉しいです（ ; ; ）実は回収し忘れていたネタが1つありまして、続編を作ることにしました！また宜しくお願いします！ (2019年7月22日 15時) (レス) id: 1c0a7a2bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年6月22日 0時
