真夜中28回目 side Ren ページ28
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side REN
あとで石井に聞くと、失恋を拗らせてかなり勿体ない哀れなやつだと説明され、あの涙も失恋相手を想ってのことかと分かると、なぜか急に冷めた。
俺が今まで振ってきた女子もみんな泣いていた。
高嶺の花だったあいつも、それと同じと分かったら、なんの興味もなくしたのだった。
それまで自然と目で追っていたのも、それを聞いた日を境にしなくなった。
ジンと石井をくっつけるために毎日話すようになっても、それは変わらなかった。
あっちもグイグイ来るわけではないし、必要最低限の情報交換をするだけ。
イケメンと呼び声の高かった俺らに全く興味がなさそうで、今までの女子とは関わり方が違うけど、どうせ中身は一緒だろう。
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そう思っていたやつが、髪を振り乱し、白い腕と足をさらけ出し、荒い息でいつもの言葉を言う。
−−−−失恋、した
またか…
どうせ俺も家に帰りたくないし、多分こいつをこのままにすると事件性が出てくる気がして、朝までの数時間をこいつにやろうと覚悟を決めたのだった。
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初めてだった。
女子と話していてここまで素で楽しかったのは。
今まで、アプローチを受けたり実際に付き合ってきた彼女達とも長い時間一緒にいたことはある。
それでもここまで話は弾まなかった。
サッカーのことを分かってくれるのも、お互い無言になっても苦じゃなかった空気感も、何もかもが初めて。
そんなやつから永瀬くんなんて呼ばれる。
でもほかの女子とは一緒にしたくなくて、気づけば名前を呼び捨てにさせていた。
ほんの少し、ほんの少しだけ特別にしたかった。
あいつを家まで送り届けて別れ際、今まで一度も口に出したことのなかった名前を呼んでみる。
別れ際、あんな表情は反則だろう。
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年5月30日 22時
