一本道で迷子 (ren.n) (ページ3)

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失恋3回目ページ3

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「ほんと、毎日大変だよね～。
忘れたくても忘れられないなんて」
『私ももう疲れたわ…
どっかに新しい恋落ちてないかな』

いつも通り、朝から大きなため息をついて麻里から幸せにげるよ！と叩かれて、今日も何も変わらない日が始まるんだと確信する。

平野先生と初めて会ったのは中学2年の時。
あまりに勉強が出来ない私を見かねた両親は、私に家庭教師をつけた。

第一印象はチャラいお兄さん。
どこかフワフワしているし、勉強は出来るらしいけど天然だし、良い匂いがするし、綺麗な顔してるくせに大きな身体はとても逞しくて…
恋なんか無縁で異性に免疫のなかった私はすぐに恋に落ちた。

当時、大学4年だった先生には彼女がいて、時々香る甘い匂いに嫉妬して八つ当たりしたり、からかったり、私なりに必死で先生の気を引こうとしていた。
そんな私を、いつも大人の対応で受け流し、ときに彼女の愚痴をこぼしてくる、そんな所にも私はきっと惚れていたのだろう。

私の成績はめきめき上がり、迎えた中学3年の夏。
いつものように勉強を教えてもらって、見送りに玄関まで行く間、他愛もない会話の中で先生は"彼女と別れたんだよね"と溢した。
涼しい家の扉を開けると、ムッと蒸す夏の匂いが私を包み込んだのだった。

しかし、無事に志望校にも合格し、先生とお別れする最終日に告白しようと意気込んでいた私は、衝撃的なことを告げられる。

「娘さんと、結婚を前提にお付き合いさせて頂いてます。これからも宜しくお願いします！」

そう言って両親に頭を下げる先生と姉を、私はただボーッと見つめることしか出来なかった。

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