失恋13回目 ページ13
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学校の最寄り駅から学校までは徒歩で向かう。
この駅の周りにはうちの学校しかないため、電車を降りれば同じ制服を着た集団と共に歩くことになる。
いつも校門が見えるまでイヤホンで外の音をシャットアウトして音楽を聴くのだが、今日は改札を出たところで、大声で私の名前を呼びながら手を振る人がいたためイヤホンを外して丁寧に纏めた。
えっと…誰だっけ。あのサッカー部の…
「Aちゃーーーーーん！！！」
肩どうなってんだ。
あんなに高速で腕って振れるもんなんだ。
『おはよう、ございます…？』
「あははは、なんで敬語？
さては俺の名前覚えてないな！」
2組の高橋海人だよ、とニコニコの笑顔で教えてくれる。
犬っぽいな〜と思いながら、名前を覚えていなかったことを謝った。
「Aちゃんこの電車なんだね。
今日朝練なくてさ、たまたま乗ったらAちゃんいたから丁度良かったわ、まじで」
『え、丁度良いってなにが？』
「いや実はね、ジンと麻里ちゃんくっつけたいのよ」
『ジンって神宮寺くん？』
「そうそう！もう1年の頃から二人とも良い感じなのにさ〜、なかなかくっつかないから俺らが一肌脱ぐかってなってんの」
『やっぱそうなんだ〜。
麻里からは話聞いてたけど、この前話してるの見た感じ神宮寺くんも満更じゃなさそうだったもんね！』
二人でウンウンと頷きながら、学校までの道を歩いていると女子からの視線に気づく。
そうか、高橋くんも相当なイケメンだった。
すごいな、麻里。
イケメンと恋をして、イケメンからその恋を応援されるとは本当に少女漫画の世界だ。
「Aちゃんはさ、誰に失恋してるの？」
ぼーっと話していると、急に鋭い質問が投げられた。
「麻里ちゃんAちゃんのこと、失恋拗らせて残念だ、っていつも言ってるけど詳しいことは言ってくれないからさ〜。
Aちゃんもかなり可愛いじゃん？そんな人を失恋させて拗らせる人ってどんなやつ〜？」
なんか色々ツッコミたいけど、
『ありがとう高橋くん。お世辞とはいえ元気出たよ』
「今の言葉にお世辞の部分なかったけど？
で、どんな人？いつから？？」
『ないしょ。
というか、話すと長いから面倒くさい』
「ええええ、面倒くさいとか言っちゃう？」
ずっとニコニコと笑ってくれる高橋くんのおかげで、今日はいつもより明るい朝となった。
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年5月30日 22時
