失恋12回目 ページ12
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結局 午後イチが体育だったこともあり、永瀬くんに買ってもらったお茶は学校が終わるまでになくなった。
ただ、なんとなく空になったペットボトルを捨てずに家まで持ち帰る。
帰りの電車では相変わらず、先生と二人きりになった場合、姉がいて3人の場合、母もいて4人の場合、姉と先生がいちゃいちゃしてる場合をイメトレし耐性をつけることに専念する。
よし、今日も準備万端だ。
ただいつもと違うのは、空になったペットボトルを手で弄びながら考えたこと。
私が永瀬くんの言葉を忘れることが出来なかったように、彼も私に言ったことを覚えていた。
それを謝ってきたということは、多少なりともあの発言を後悔してくれたということだろう。
それだけで、私の片思いも失恋も、ほんの少しだけ報われた気がした。
家に帰ると姉と先生の声がした。
今日は母が帰るまで3人のようだ。
「Aおかえり！今日お母さん遅いんだって。晩御飯何がいい？」
「俺しょうが焼き食べたい〜〜」
「紫耀は黙ってて！今日はAのリクエスト聞くの！」
「Aちゃん、しょうが焼き食べたくない？想像して、ほら、豚と玉ねぎがヒップホップ踊ってるよ〜」
『ほんとだ踊ってる〜〜。じゃあパスタで』
なんで！！！！と絶望している先生を横目にリビングを出ようとする途中、永瀬くんに買ってもらったペットボトルでリズムを取りながら鼻歌を歌うと、姉と先生が驚いた様子でこちらを見ていた。
『………へ？なに？』
「「いや、なんか良いことあった？？」」
「なんか、久しぶりにそんな顔見た…」
先生が少し紅くなっている気がして、なんだかこっちも照れてしまった。
(Aどうしたんだろう…！)
(あのAちゃんが鼻歌なんて…！)
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年5月30日 22時
