53個目の扉＊ ページ10
徳川side
『……情けない所を見せちゃったな…』
学秀以外の前で、あんなにも、
みっともなく、情けなく
涙を見せて終ったのは何年ぶりか
何て、そんな事を思いながら本に栞を挟む
……あれから、どれだけ時間が経ったのか
……どれだけ…泣き腫らしたのか
触れた目元は熱が籠もっていて
零れた声はやや震えていて
みっともない
ふらふらな足取りで本校舎へ向かう
何で、何の用があって本校舎へ向かうのか何て自分でも分からない
……でも、何でだろう
何だかとても学秀に会いたくて
学秀の顔を見たくて
あの大きい手で、頭を撫でてほしくて
『……だめだなぁ……』
こういう時、すぐ学秀を思い浮かべるのは私の悪い癖だ
眼前迄来た昇降口で踵を返す
下校時だからか
昇降口から溢れ出て来る参考書を持った生徒がすれ違いざま此方を一瞥し、思い思い言葉を口にしていく
まぁ、部外者にどう思われようが興味ないが
ハンッと鼻を鳴らし昇降口に背を向けて足を出した時、「徳川さん」と背に掛かる声
身に覚えのない声な上、私が態々付き合ってやる義理はないと判断
声は無かった事に、歩を進めれば「待ちなさいよ」と肩を掴まれた
嫌々振り向く
やはり見た事ない女生徒は、眉を釣り上げ、一言
「ちょっと付き合いなさい」
ーー…
『……』
ぽたりぽたりと、髪先から落ちる冷たい雫
眼前には醜く嘲笑っている少数の女生徒
耳には女生徒達の薄汚い声が粘り付いて離れない
……こうなる事は予想していた
否、逆に何故予想出来ない何て事象は起こり得るのか
…はぁ…、と溜息を吐き前よりになった髪を雑に掻き分け地べたから腰を離す
此奴等と殆ど同じ目線になったら鼻を鳴らして
『気は済んだか?』
「はぁ?」
『気は済んだか、と、訊いてやってんだ。この雑魚共が。此方は特に用がないのにも関わらず態々こんな事に付き合ってやったんだ。お前等の気が済んだかどうか位知る資格あるだろう?』
『あぁそれとも…、無能にはそんな事も分からないのか』
「っ……!!調子に乗って…!!」
女生徒が勢い良く手を振り上げる
やはり言い返せなくなったら手を出す
あぁ、実に愚直でつまらない
退屈な事極まりないものに態々避ける気など起こる訳もなく
敢えて当たってやろうと棒立ちで真っ直ぐ相手の面を見る
もう少し
後一歩で当たりそうと言う時 不意に横から腕が伸び相手の手首を掴んだ
手が、止まる
「君たち、それは美しくない」
榊原がいた
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サヤ(プロフ) - 桜南さん» ｱｾｱｾ。ありがとう御座います(1年経ちそうな返信ですみません)またのんびりのんびり更新する予定ですのでお目通し頂けましたら幸いです！！ (2022年5月11日 4時) (
レス) @page6 id: 54deb64473 (このIDを非表示/違反報告)
桜南 - この作品すごく好きです!続き楽しみにしてます! (2021年6月26日 13時) (レス) id: 25a9b19637 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - 浅野月愛さん» そうだったんですね！あ、はは……あおちゃん…、葵さんに個人的な質問をするチャンスだと思ったらつい…お恥ずかしい限りです…。それと、この作品は預かってるとは言え一応菜花さんのですから出来るだけ質問は本作の方で御願い申し上げます(><) (2019年1月27日 15時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
浅野月愛 - サヤさん» サヤさん宛てです！カップルの会話で、アヤさんとサヤさんのコメントが沢山あって気になってたんです！ (2019年1月27日 9時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
菜花 - 浅野月愛さん» 此処には葵さんがいすぎてどの方の事か見当付かないのですが、もし、合作させて頂いてる葵さんの事でしたら違います。此方こそ申し訳ありません。理由を御訊きしても良いでしょうか…? (2019年1月27日 6時) (レス) id: b56c1459fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜花 | 作成日時：2018年5月1日 0時
