48個目の扉＊ ページ5
潮田side
「おはよ徳川。……大丈夫か?」
1限終了後
本を手に、されど集中出来てない様子の徳川さんはページを捲っては戻り捲っては戻るを繰り返す
いつもの無表情もどことなく落ち込んでる様に見えて、磯貝君が大丈夫かと訊くのも無理ないだろう
『……』
当初から磯貝君には何らかの反応を示すのに今日はぴくりとも反応しない徳川さん
そんな徳川さんに寺坂君が忌々しげに舌打ちし、「エリート様は俺等落零れと口聞く時間も惜しいンかよ」と呟く
「……。徳川?」
『……!!』
磯貝君が控えめに"無視" と表すのは違う気がする様子の徳川さんの肩を叩けば、徳川さんがびくりと肩を上げ反応した───刹那 磯貝君が体勢を崩す
「っ…」
『ぁ……ゅ…ま……?ごめ…』
「そんなに慌てなくても受身取ったから大丈夫だよ。それよりごめんな?いきなり触られてビックリしたよな」
『………ごめん』
慣れた感じに頭を撫でる磯貝君に落ち着きを取り戻したのか、徳川さんが謝罪を口にした
似た様な光景を、僕は目にした事があって───
「へぇ…浅野クンの次は磯貝に尻尾振るんだぁ…。ホントビッチだよね、徳川チャンって」
今来たのだろう彼はドアに凭れ掛かり応じる事なく黄金色の瞳に静かな怒りを宿し、徳川さんを睨む
徳川さんはと言えば、カルマ君から磯貝君を庇う様に前に出て、憎々しげに『赤羽…』と呟いた
そんな彼女の言動が気に入らなかったのだろう
カルマ君はチッと盛大に舌を鳴らし「大体さぁ」と声を上げる
「磯貝もおかしいって思わねぇの?初っ端から寺坂でも判る位の警戒心醸し出してたのにさぁ…」
「徳川は話せば良い奴だし、それに今は落ち込んでるからだろ?」
「だぁかぁらぁ、ちょ〜っと話した位で触れさせる程の薄れる警戒心じゃなかっただろっつってんの。凹んでるだか何だかも演技何じゃねぇの?浅野クンに“E組に馴染んで秘密を探ってこい”とか言われて」
カルマ君が浅野君の名前を出し推測を述べた
───瞬間 徳川さんが彼の胸倉を掴む
『───学秀を、侮辱するな』
引き寄せ、静かに睨む徳川さんが放つ殺気は紛れもなく本物だろう
今にも殺して終いそうな勢いの徳川さんを、カルマ君は鼻で嘲笑
「そうだよね〜。たぁいせつな後ろ盾が失くなったら困るもんね?」
徳川さんの眉が微かに動く
「結論から言ってあげる」
カルマ君は徳川さんの手を払い除け、
「アンタが自力で得た物何て、何一つないんだよ」
耳元でそう、囁いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サヤ(プロフ) - 桜南さん» ｱｾｱｾ。ありがとう御座います(1年経ちそうな返信ですみません)またのんびりのんびり更新する予定ですのでお目通し頂けましたら幸いです！！ (2022年5月11日 4時) (
レス) @page6 id: 54deb64473 (このIDを非表示/違反報告)
桜南 - この作品すごく好きです!続き楽しみにしてます! (2021年6月26日 13時) (レス) id: 25a9b19637 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - 浅野月愛さん» そうだったんですね！あ、はは……あおちゃん…、葵さんに個人的な質問をするチャンスだと思ったらつい…お恥ずかしい限りです…。それと、この作品は預かってるとは言え一応菜花さんのですから出来るだけ質問は本作の方で御願い申し上げます(><) (2019年1月27日 15時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
浅野月愛 - サヤさん» サヤさん宛てです！カップルの会話で、アヤさんとサヤさんのコメントが沢山あって気になってたんです！ (2019年1月27日 9時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
菜花 - 浅野月愛さん» 此処には葵さんがいすぎてどの方の事か見当付かないのですが、もし、合作させて頂いてる葵さんの事でしたら違います。此方こそ申し訳ありません。理由を御訊きしても良いでしょうか…? (2019年1月27日 6時) (レス) id: b56c1459fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜花 | 作成日時：2018年5月1日 0時
