. ページ40
輪の外でじっとこちらを見つめている人がいた。あぁ、怒ってる。ずっと一緒にいた経験が、そう感じさせる。
俺の視線に気がついたドンヒョギヒョンが彼の方を向いて、明るく言った。「ジェノ、Aだよ」
彼は近づいてきて、黒と白で構成されたキャップの下から俺の事をじっと見た。
「…A」
「なに、ジェノヒョン」
彼の名前を呼んだ瞬間、その肩がカクっと落ちるのが見えた。同時に顔が俯いたせいで彼の表情が分からない。俺は不安げな顔をして目の前の人を見ていた。
「…5年間も、よくそんなことができたね」
小さく呟かれた言葉が俺の心臓を思いっきり突き刺す。彼の言葉を聞き取ったドンヒョギヒョンは、おい、と強めの声を出したが、キャップの下からの言葉は止まることは無かった。
「きっと、Aはジェミナのためだ、ドリームのためだって思っているのかもしれないけどさ、俺らの気持ち考えたことあったの？」
「…なかったわけ、ないでしょ」
上手く言葉が吐けず、途切れ途切れに繋がれる。顔を上げたヒョンは、はっ、と笑った。今まで1度も見たことの無い、嘲笑うような笑顔。現実のものじゃない気がして、心臓がキュッとなるような感覚がした。「みんな優しいから言わないだけで」淡々と彼の口から紡がれていく。
その声色、雰囲気、抑揚全てが、これから先のことを暗示していた。聞きたくない。耳を塞いでしまいたいと思った。やめて。言わないで。俺にはまだ、受け止められる勇気がない。すう、と息を吸うのが見えた瞬間、思わず息を止めた。
「本当は、騙されてたって思ってるよ」
……ああ。
その瞳は5年前のものとは違った。5年間、関わってきたものとも違った。
自分は無事に役目を果たせていたんだ。そう思うと共に、やっぱり彼は俺を通して、ナ･ジェミンだけを見ていたのだと理解することができた。
それは、そうでなければいけないのだと分かっていながら、心のどこかでそうであってほしくないと願っていた事だった。
「ジェノ！！お前マジで、」
「ドンヒョク」
俺の隣に立っていたドンヒョギヒョンを制したのは、ずっと黙って話を聞いていたマクヒョンだった。不服そうな、有り得ない、と言いたげな瞳をドンヒョギヒョンはマクヒョンに向ける。ヒョンはただ、そんな彼に向かって、目を閉じて諭すように首を振った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジュン(プロフ) - えみさん» 3月から4月への変わり目は特に忙しいですよねTT お気になさらないで下さい！お疲れ様です😊 了解しました！では私の方からえみさんの方にメッセージを送らせて頂きますね！ (2022年4月4日 23時) (
レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ジュンさん» 月末月初で忙しくしてました😭返信遅くなりごめんなさい。。色々と調べていただきありがとうございます！ご提案いただいた方法で大丈夫です。ありがとうございます！ (2022年4月3日 17時) (レス) id: 9192d71aff (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - えみさん» えみさんと私の間でしか見れない内容で会話をすることができるようです。ですので、その方法でも宜しいでしょうか？気になることや不安なことがありましたら気軽に言ってくださいね！💚 (2022年3月31日 4時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - えみさん» いえいえ！お気になさらないで下さい！お声をかけてくださった事をとても嬉しく感じていますから😊調べてみたところ、プロフを作っていれば使えるこみゅ(COMMU)のメッセージ機能を使うと、 (2022年3月31日 4時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ジュンさん» こちらこそご迷惑をおかけして申し訳ございません。素敵な作品をありがとうございます🥺 (2022年3月30日 19時) (レス) @page8 id: 9192d71aff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジュン
| 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/baekotowhani/
作成日時：2022年3月27日 23時
